雨のあとに虹 その105 | 開運童子のブログ

雨のあとに虹 その105

「さすがに疲れたな。」

矢島は巨体を動かして椅子に座りながら言った。妻の早苗が

「少しメタボになったわね。」

と言った。

「仕事でのストレスもあるからだよ。」

矢島は言った。矢島はメタボと言われると気にするのである。

「そうじゃなくてお酒の飲みすぎでしょ?」

早苗は言った。

「それもある。」

矢島はあっさり言った。

「高村さんだってストレスはあるはずなのにスタイル良いじゃない。」

早苗は俊之を引き合いに出して言った。

「あいつはスーパーマンだからだよ。」

矢島が言うと早苗は

「高村さんは凄い人よね!」

と言った。

「俺はあいつには勝てないよ。」

矢島は言った。

「あなたにしてはずいぶん早く負けを認めたわね。」

早苗は言いながら微笑んだ。早苗は田崎から江紫組の件を聞いていたのである。

「鍋は久しぶりだから楽しいね。」

俊之は言った。俊之のマンションで3人が集まるのは初めてである。俊之は久美子と育子を交互に見ていた。

「こんな事で喜んでもらえるなら簡単ですよ。」

久美子が言うと

「それだけじゃないでしょ?」

育子は言った。

「それだけじゃないって?」

俊之が言うと

「両手に花だから。」

育子が言った。

「それもあるね。」

言いながら俊之は箸を伸ばした。

「このビールはおいしいですね。」

久美子は飲み干して言う。育子も

「そうでしょ?」

と言った。

「はコクがあっておいしいですよね?」

久美子が言うと育子も

「新しく発売されたばかりで安くて味わいも深いよ。」

と言った。

「ふたりともアルコールに強いね。」

俊之が言うと

「そうでもないですよ。」

と久美子が言うと育子も

「みんなこれくらいですよ。」

と言った。

「俊さんが弱すぎるだけですよ。」

久美子が言った。

「まさか美女ふたりの前でつぶれないでくださいよ。」

育子が俊之をからかって言った。

「僕はアルコールには弱くてね。」

俊之は言った。俊之はやっとビールが2杯目になったところだ。久美子も育子も4杯目を飲み終えていたのであった。

「この酒はうまいぞ。」

矢島は早苗についで言った。早苗は一口飲んで

「本当においしい。」

口の中で酒の味を確認しながら言った。

「この味が解かる奴は少ないよ。」

矢島は言った。

「とってもおいしいわよ。」

早苗は言った。

「この酒は味が解かる本物にしか良さが解らないぞ。」

矢島が静かに言った。

「最近は利き酒が出来る人は少ないですよ。」

早苗は遠くを見るように言った。

「もう寝ているよ。」

育子は俊之が眠り込んだのを見て言った。

「本当に弱いですね。」

久美子も意外な様子で言った。

「美女ふたりを前につぶれるなんてね。」

育子があきれたように言って俊之を見た。

「ふたりで飲み続けましょうよ。」

久美子が言うと

「そうしよう。」

と育子が言った。

「俊さんの寝顔って可愛いいですよ。」

久美子が言うと

「どれどれ。」

育子が言って覗いた。

「以外でしょ?」

久美子が言うと

「本当だ。」

育子は言った。

「イメージにギャップがありますよね?」

久美子が言うと育子は

「これが闘新拳の達人とはね。」

と言った。育子も俊之の意外な面がある意味で好きだった。俊之は大人でありながら子供っぽいところがあった。それでいて大人の器の大きさを持っているところが不思議な魅力である。俊之と久美子と育子とそれぞれの思いと運命を乗せて3人のだけの夜はにぎやかなうちにも平和に過ぎていった。俊之はひとり夢の中であった。