雨のあとに虹 その94
「田崎さん。」
俊之は言うと
「はい!」
緊張感を持ったように田崎は言った。
「明日は矢島の状況を僕に知らせてくれないか?」
俊之が言うと
「もちろんそのつもりですよ。」
田崎は言った。
「すまないけど頼むよ。」
俊之が言うと
「ちゃんと携帯に電話しますよ。」
田崎は言った。
「江紫組って凶暴ですよね?」
みどりは俊之の横で言った。
「噂ではかなり強暴だと聞いているけどね」
俊之は言った。
「先日も新聞に載っていましたよ。」
みどりは心配そうに言った。
「何とかしないといけないね。」
俊之は言った。
「社長は柔道3段ですから何とかなるとは思いますけどね。」
みどりが言うと
「矢島には絶対に手出しをさせないよ。」
俊之は言った。みどりは驚いたように
「高村さんではとてもかなう相手ではないですよ。」
と言った。みどりは俊之では矢島を助けられないと思っていたのだった。
「ありがとう。」
翔太は関口に言って周囲を見た。ここは大きめの公園であるが散歩をする人やジョギングをする人数は少ないようだったのであった。
「任せてください。」
関口は言が言うと
「関口を見直したよ。」
翔太は言った
「兄貴が週に1度だけあの病院で患者を診していますのでね。」
関口が言うと翔太は
「世の中は意外と狭いね。」
と言った。
「これが榊原の病状ですよ。」
関口は言ってカルテを翔太に渡していた。翔太は渡されたカルテを見ながら
「関口のお兄さんにも感謝するよ。」
と言った。
「ありがとうございます。」
関口は言った。
「何かあったらお兄さんのリスクは高いよ。」
翔太が言うと関口は
「大丈夫ですよ。」
と言った。
「それらいいけどね。」
翔太は言った。
「そんな事はないだろう?」
翔太が言うと
「少し解った家族ですけどね。
関口は言った。
「それで榊原はかなり焦っていたようだね?」
翔太は呟いてカルテをポケットにしまった。
「お先に失礼します。」
久美子は言ってタイムカードを押した。
「お疲れ様。」
ひとみが言った。背中を向けた久美子に小百合が
「これからデートでしょ?」
と言った。
「違いますよ。」
久美子は言ったが悪い気はしなかった。久美子は店を出てエスカレーターに乗ると人混みにまぎれていった。年末の賑わいで人々は慌てたように歩いていた。
「お先に失礼します。」
俊之が言った。
「お疲れ様です。」
田崎は言った。
「明日必ず僕に連絡を頼むよ。」
俊之が言うと
「任せてください。」
田崎が言った。
「休日なのにすまないね。」
俊之が言うと
「しっかり社長を監視しますよ。」
田崎は俊之の目を見て言った。
「何時でもいいから電話を待っているよ。」
俊之は言った。矢島建設から外に出た俊之は胸にいっぱい空気を吸込んでいた。駅に向かって歩き出すと今年が終わるのを実感できるほど人々は忙しそうに歩いていた。俊之はこれから天門会う約束があった。俊之は天門に出会ってから徐々に低迷期を脱出する兆候が出てきたのである。混雑している駅はサラリーマンが階段を駆け降りて危険度は増していた。よそ見をしている自転車もいつかは大事故に繋がりかねないほど危険な運転をしていた。そんな危険を俊之はさっと避けていた。ホームに人があふれていて買い物客や帰省客でパニック寸前であった。タイミングよくホームに入って来た電車に乗った俊之は窓の外に目の焦点をあわせていた。