雨のあとに虹 その78
「久美ちゃんも怒ると恐いところがあるね。」
俊之は珍しく帰りのタクシーで冗談を言った。
「ぼくも驚きました。」
翔太も冗談を言った。
「あの佐藤って人は最低ですよ。」
久美子ははっきりとした口調で言った。女性にはこういう強さが必要だと俊之は思っていた。優しさも大事だが時には怒る事も大事な時がある。若いのにしっかりした考えを持っている久美子を俊之は見直していた。
「ここで降ろしてください。」
翔太は言って降りようとした時に。
「翔ちゃん。」
俊之は言った。
「何ですか?」
翔太が言うと
「先ほどの人たちを改めて紹介してくれないか?」
俊之が言った。
「私からもお礼が言いたいです。」
久美子も言った。
「解りました。」
翔太が言った。
「頼むよ。」
俊之が言うと
「近いうちに紹介しますよ。」
翔太は言った。
「お疲れ様でした。」
久美子が言い
「お疲れ様。」
俊之も言った。
「では!」
と言って翔太はタクシーを降りた。
「お腹空いたでしょ?」
久美子は言った。久美子が作ってくれた軽食を見て俊之は空腹感が増してきた。
「言われて余計にお腹が空いたよ。」
俊之は言った。俊之は翔太を降ろした後に久美子の部屋へ来てしまった。既に俊之と久美子は男女の中なのだから今更気にする事もないのであるが若い女性の部屋に来て緊張を隠せない俊之だった。部屋を見回すとさすが女性の部屋である。きちんと片付けられていてカーテンなどもおしゃれであった。
「俊さんが私の部屋に来るのは初めてですね。」
久美子が言うと
「そうだったね。」
俊之は言った。
「私の方から俊さんの部屋へ何回も行っているのに!」
久美子は言うと
「女性の部屋は緊張するよ。」
と言った。
「どうして?」
久美子が言うと
「この温もりは照れくさいね。」
俊之は言った。
「どうして照れくさいの?」
久美子が言うと
「それはよく解らないけどね。」
俊之は言った。
「いつものようにしていればいいのよ。」
久美子少し大人の口調で言った。
「いつものようにね。」
俊之は言った。言葉では解かっていたのだ。