雨のあとに虹 その50
「それではパトロール隊の方はよろしくお願いします。」
手塚が言った。町会本部からの帰り道である。
「会長が人を捕まえようとしないでください。」
俊之は言った。
「捕まえるのはダメかね?」
手塚が言うと
「捕まえるのは警察の仕事ですよ。」
俊之は忠告の意味で言った。
「高村さんがもっと注意してくださいよ。」
絹枝は言った。
「糸田さんまで厳しいね。」
手塚が言うと
「会長はすぐに無理をするだからですよ。」
絹枝が言った。
「いや大丈夫だよ。」
手塚は言った。
「それだからダメなのよ。」
絹枝は言った。
「私はこう見えても若い奴には負けないよ。」
手塚は元気よく言った。
「みんな会長の事を心配して言っているのに!」
絹枝が言うが
「高村さんだってボディガードしてあげるから大丈夫だよ。」
手塚は言った。手塚はいつも元気で頼りがいがあるのである。
「それでも無理はダメですよ。」
俊之は言った。ちょうど交差点まで来た時に
「それではお疲れ様でした。」
手塚は言って元気良く言った。
「お疲れ様でした。」
俊之が言い絹枝も
「お疲れ様でした。」
と言った。手塚は元気よく自宅の方に帰って行った。
「高村さん。」
絹枝が言うと
「はい!」
俊之は絹枝を見て言った。
「今夜はおでんをたくさん作ったので食べていかない?」
絹枝は言った。絹枝はマンションの隣に一家で住んでいて旦那さんも娘さんも俊之は良く知っているがこういう誘いには気が引けるのである。
「ありがとうございます。」
俊之が言うと
「寄っていらっしゃいよ。」
絹枝は言った。
「せっかくですど今夜はもうひとつしないといけない事がありましてね。」
俊之は言った。
「それは残念ね。」
絹枝が言った。
「すみません。」
俊之が言うと
「また今度ね。」
絹枝は言った。
「その時にはお願いします。」
俊之は言った。
「私はこのまま帰りますね。」
絹枝が言うと
「僕はちょっと寄る所がありますのですみません。」
俊之は言った。
「それでは暑かれ様でした。」
絹枝は言ってマンションの方へ帰って行った。俊之はパトロール隊の巡回コースでも見ておこうと駅への道を歩き出した。大通りは人通りがあるが横道に入ると以外にも寂しいのである。
「女性のひとり歩きは危険だからここもコースに入れておこう。」
俊之は独り言を言った。その時である
「高村さんじゃないですか?」
横から来た男に声をかけられたのでその方を見ると寄った田崎が立っていた。