雨のあとに虹 その26 | 開運童子のブログ

雨のあとに虹 その26

「あまりおしゃれな店には縁がないのですね。」

俊之は言った。初めて向かい合って座るので少しだけ緊張をしている。おしゃれなレストランと言えるか解らないが低い音量でクラシックが流れていた。

「とても素敵なお店ですよ。」

久美子は言った。アルバイトの時にはワイシャツの制服とジーンズという服装だがセーターにスカート姿の久美子を見て俊之は違う一面を見た思いで次の言葉を捜した。そうなのだ。まだお互い詳しい事はよく知らない。

「こうしてゆっくり話をする始めてだね。」

俊之が言うと久美子は

「いつもはザワザワしているお店の中でしたものね。」

と言った。

「偶然とは言え縁とは不思議なものだね。」

俊之は言った。

「唐突ですけど俊さんのお年はいくつですか?」

久美子が言った。

「僕は46歳だよ。」

俊之が言った。

「46歳ですか!」

久美子が驚いたように言った。

「すっかりおじさんの年だよね?」

俊之は言うと。

「そんな事はありませんよ。」

久美子は言った。

「そうならいいけどね。」

俊之は言うと

「もっとお若く見えますよ。」

久美子は言った。

「それはありがとう。」

俊之は言った。

「30代の後半くらいかと思いました。」

久美子が言った。」

「気だけ若いからかな?」

俊之が言った。

「私はいくつに見えますか?」

久美子が言う。

「20歳くらいかな?」

俊之が言う。

「正解です。」

久美子は言った。

「それは当たってよかったよ。」

俊之が言うと

「年が明けると成人式です。」

久美子が言った。俊之はあらためて久美子を見た。しっかりと目線を合わせてきているところが久美子の人間性を思わせた。大人の部分と幼さが同居して形容しきれない女性の雰囲気を出している。俊之は久美子にどう見えるのか少しだけ不安があった。俊之は久美子を分析していた。

 久美子は目線を合わせてきた俊之から目線をそらさなかった。大手商社で見かける精悍な顔をしている。特別なおしゃれはしていないが決して地味ではないスーツを着こなしている。ネクタイとワイシャツのいセンスもよかった。俊之はデザインの趣味が良いと久美子は評価していた。髪型も俊之の若さを演出していた。落着いた言葉使いをしているので好印象を与えてくれる。俊之は心にシャッターを下ろす事が多いのように感じたのはなぜだろうか?俊之は打解けて話をする人は少ないのかもしれない。言葉を崩さないのはそのためだろうか?久美子は俊之を観察しながら俊之に少しずつ恋に近い気持ちを覚えていった。

「目の前に女性がいると食べ物がおいしね。」

俊之が言った、決して上手ではないが俊之の精一杯の言葉である。

「私と一緒でも食事がおいしいですか?」

久美子が言う。

「もちろんだよ。」

俊之が言った。

「本当に?」

久美子が言うと

「久美ちゃんだからおいしいのかも知れないよ。」

俊之が言った言葉の途中でふたりの視線が合った。