雨のあとに虹 その20 | 開運童子のブログ

雨のあとに虹 その20

電話を切った久美子も緊張して胸の鼓動が早くなった。

「仲良くうまく付合っていれば就職などに自分に有利になるかもしれない。」

と純子が言ったが久美子も考えないわけではなかった。店長のひとみから親しくするように頼まれた時には断る理由がなかった。このような深夜に電話をした自分の行動にあるひとつ感情以外に理由が見つからなかった。

 都心から私鉄の急行で1時間ほど離れた郊外の小都市に俊之は降り立った。今日は恵まれない子供たちの施設であるあすなろ会にボランティア活動をする日である改札口を出て足早に歩く俊之に冬風が冷たかった。俊之は久しぶりに来たこの街に心なしか懐かしささえ感じた。

「おはよう。」

後ろから吉田未来が声をかけてきた。

「おはようございます。」

俊之は答えた。

「今日1日よろしくね。」

未来が言った。

「こちらこそ!」

俊之が言う。未来とは出会って数ヶ月だが明るく気配りが出来る性格の良さに惹かれるものがある。未来は既婚者で仕事と子育てを両立してきたのだ。

「今日は子供たちに少しでも楽しい思い出が作れるようにね」

未来が言う。

「僕も楽しませてもらおうかな?」

俊之が言った。

「少し力仕事があるから若い人に声をかけておけば良かったかな。」

未来は言う。

「僕だってそれくらい出来ますよ。」

俊之が言った。駅前の通りを歩いて街路樹が多くなったところで木陰から翔太が姿を現して

「高村さん」

と言った。

「翔ちゃん!」

俊之が驚いて言うと

「今日はボランティアですね。」

翔太は言った。

「すまないが翔ちゃんに頼みがあってね。」

俊之が言うと

「解かっていますよ。」

翔太が言う。

「さすが翔ちゃんだね。」

俊之が言うと

「力仕事も任せてくださいよ。」

翔太が言った。忍者のように現れた翔太に未来はびっくりしている。それでもすぐに気を取り直して

「あなたはイケメンね。」

未来は言った。

「ご苦労さん。」

榊原は三友商事の応接室でひとみに言った。

「それはかまいません。」

ひとみが言う。

「君は相変わらずだね。」

榊原が言う。

「私はただ真相を知りたいだけです。」

ひとみが言った

「それはすぐに明らかになるはずだ。」

榊原は言った。

「本当に解かるのですか?

ひとみが言うと

「時間が経てば解るよ。」

榊原が言う。

「榊原さんはすでに何かご存知のようですね?」

ひとみに言われて

「今ははっきり言えない状態でね。」

榊原が言った。

「あの男が麗子さんを裏切ったのは確かな事よね?」

ひとみは言った。