雨のあとに虹 その14
「お母さん。」
千晴は純一が外出しているのを確認して言った。
「何?」
静江が言った。
「本当にそれで良いの?」
千晴が言った。
「兄さんの事?」
静江が言う。
「そうよ。」
千晴が言うと
「簡単に縁が切れるものなの?」
千晴が言った。静江は千晴が言う事は当たり前だと知りながらも
「仕方がないのよ。」
と言った。
「どうして?」
千晴が言った。
「理由はないわよ。」
静江は言った。
「そんな事は納得出来ないよ。」
千晴が言う。
「千晴こそ学校をサボってどうしたの?」
静江は言った。
「おい!」
町島義介は言った。すぐに柳田正人は
「なんでしょうか?」
と言った。町島は広域暴力団である江紫組の組長で柳田が若頭である。
「この建設現場はどこの会社だ。」
町島はビルの建設現場を前で見上げながら言った。
「矢島建設です。」
柳田が言った。
「矢島建設か!」
町島が言う。
「今回のターゲットですか?」
柳田が言った。
「久美子はこれから何処か行く予定でもあるの?」
と同級生の椿純子が声をかけてきた。久美子が北西大学のキャンパスを歩いていると純子が声をかけてきたのである。
「特にはないけどたまにはおしゃれな店でも見て回ろうと思ってね。」
久美子が言うと
「私も行こうかな?」
純子が言うと
「純子も一緒に行こうよ。」
と久美子が言う
「たまにはおしゃれな店を見て歩きたいね」
と純子が言った。
「そのあとで何か食べようよ。」
久美子が言った。都心のおしゃれな店を見て回るのは心が浮かれるものである。心なしか歩く速度も上がってくる。 久美子とたちが歩く数メートル後ろで先日久美子に声をかけてきた若い男がふたりを見つめている。目は焦点が定まらずに病人のようであった。
「高村さんは社長と同級生ですよね。」
仕事中ではあったが社員の田崎が言った
「そうだよ。」
俊之が言う。
「社長は昔からあんなに豪快だったのですか?」
田崎が言うと
「高校生の時から今みたいに豪快だったね」
俊之が言った。
「社長は若い頃から豪快な人だと聞きましたけど。」
田崎が感心したように言うと
「柔道の有段者だったからみんなに一目置かれていたよ」
俊之が言った。
「そうが想像できますね。」
田崎は感心したように言った。
「親分肌で豪快だからね。」
俊之が言うと
「社長は怖いけど言っている事は正論ですよね。」
田崎が言う。
「そこの部分も高校時代と同じだよ。」
俊之が言うと
「そこを尊敬しています。」
と田崎が言った。
「矢島は間違った事は嫌いだからね。」
俊之が言う。
「さすが社長だな。」
田崎が言うと
「ところでパソコンでデザインを作成するわけだよね?」
俊之が言った。
「そうですよ。」
田崎が答える・
「ちょっと見せてもらってもいいかい?」
俊之が言うと
「それは画面を開いてですね。」
と田崎が説明を始めた。