私は先生とのお散歩が好きだった。あちらもリラックスしてはるし、スパルタモードから全く真逆の優しい雰囲気が好きだった。


芝生の上でいつも一緒に座って、アレコレ他愛もない話をして楽しんだ。たまに、先生は芝生の上に寝転んだりして楽しんではった。


ある時、先生が…

君も寝転んだら?気持ちいいよ。と、言いはったけど…なかなかその気にはなれなかった。先生が、ジャケットをいきなり脱いで、芝生の上に敷きはった。


この上に寝転んだら?これなら君の服が汚れなくていいかな?と、言いはったけど…ジャケットを見て、ギョッ!!このジャケット一枚で、私の洋服が何枚も買えるから、いいです。と、断ったけど、それは普段着だからいいんだ…と、言われた。


私が寝転んだら、先生は座って本を読み始めた。ジャケットは、ほんのりいい香りがした。あまりにも、心地よい香りで、睡魔が襲ってきた。私はそのままぐっすり寝てしまった。どのぐらい時間が経ったのかは分からなかったけど、目を覚ましたら、それほどきつい日差しではなかったけど、日傘を先生が片手で持って陰をつくってくれてはった。


えっ…?!となり、しんどかったでしょ!!!と

慌てて起き上がったら…


しんどくは全くないんだけど。話し相手がいなくてさ、つまらなかった。と、笑ってはった。睡魔が〜…と言って、謝ったら…


君、よく眠ってたな。君の寝顔をみたら、起こせなかったよ。と、笑ってはった。下に敷いていたジャケットは、ぺったんこになり、芝生だらけだった。クリーニングに出して、お返ししたいと言ったけど…


このままでいい。いや、このままがいいかな。君の体温が残っていて、温かいな。と、言いながら着てはった。


さぁ、戻ろう。そう言って、駅の方へ一緒に歩き、途中でアイスクリームを買って、一緒に食べた。


毎回同じようなお散歩なんだけど。私には、想い出に残る時間となった。