今からおおよそ40年前も前の昔話です。

1980年から「無印」の商品は当時の西友が販売し世の中にあったようだが、私が初めて認識したのは入社後だった。「訳あって安い」という趣旨のコピーがついていたと記憶している。当時は100均も無い時代で、何でも高くて、若く薄給だったサラリーマンだった私には無印の商品は重宝した。

当時は今から考えればブランドブームが終焉を迎えつつあったが、何でもかんでもブランドがつけばかっこいいとか、高いとかステータスとか、まだまだそんな時代だった。バブルの前で、「1億総中流」なんて言われていた時代。格差が少なく、のんきな時代だった。「ハイソカー」なんて言って国産車のソアラとかレパードとかダブルエックス(後にスープラ)とか派手な車が販売されていた時期。私は中古のポンコツカーに乗っていて恥ずかしかった。ちなみにペットボトル入りのミネラルウォーターが初めて店頭に登場した年だった。駅前で試飲させていた時代。珍しかったわけです。

そんな時代の中で「無印」は生成りというか、プレーンな感覚の商材だったために当初は違和感があり「安物」「節約志向の人が買う」的な捉え方をする人も多かった。「無印って何?」「ムイン?」なんて言われたこともあった。コンセプトがまだ当初は消費者に響かなかったのかもしれない。長い期間ややダサい、冴えないイメージがあったように私は肌感覚で感じている。池袋西武の家庭用品フロアに小さな、小さな売り場が出来たのが1983年頃だったか。私は個人的に直ぐにファンになり、ホテル仕様のベッドマットなどの寝具、VHSテープ、ダンガリーシャツや綿パンや下着やハンカチなどを社員販売で1割引で買った。だって安くて品質が良いんだもの!これは良いと思った。今から考えれば当時は驚くほど品数が少なかったけどねえ。ましてや食品など極めて少ない。せんべいやポップコーン、かりんとう、マシュマロ、ポテトチップ等日持ちするお菓子くらいしか覚えていない。