今からおおよそ40年も前の話です。

1982年(昭和57年)から翌年まで西武百貨店で使用された広告用のキャッチコピーが「おいしい生活」作者は糸井重里さん。同名のウディ・アレン脚本・監督・主演の映画があることは意外に知られていない。

私は前年の同百貨店のキャッチコピー「不思議大好き」に惹かれて同社を受検し、縁あって採用された。当時西武百貨店は就活学生に大人気で、同グループは文化事業や情報産業に力を入れ始める前のバブル前夜の状態だった。

グループ全体をまだ「西武流通グループ」と言っていた時代。グループ名は後に「西武セゾングループ」そして「セゾングループ」と変化していく。会長の「堤清二」曰く西武流通グループは「総合生活情報産業」であり、情報を売る事が重要だと言っていた。

当時の20代の私には堤清二の言葉はそれまで聞いたことのない横文字(グランマガザンとか、コングロマリットとか、シナジーとか40年前に言っていた)や哲学的な日本語表現が多く、おバカな私には難しくて良く理解できなかった。

CMフィルム、ポスター等の宣伝物に、ウディ・アレンがイメージキャラクターで登場しているのは今から考えてもかなり画期的である。しかし当時は「この人誰?」って日本人の大半が思った。母親も父親も祖母も「西武のコマーシャルは、なさけない顔のへんな外国人が出ているね」と言っていた。その通りです!かあちゃん!撮影はニューヨークで行われたと聞いた。「相談員」や「お習字」をするアレンさんのバージョンもあったように記憶している。今から考えればまさにバブル前夜だった

予想もしないグループの崩壊が待っている前夜だったとも言える。