• 19 やさしいうその最初へ

    そして、月日が流れその女の子が大人になって、くつ屋のおじさんの所へやって来たそうです。

    「これね、あの赤いくつが、持って行きなさいって言ったの」

    そう言って手作りのドーナツを差し出しました。だいぶしらがのまじった頭をかきながら、おじさんは、

    「そっか、あいつは、幸せなんだね」

    と、つぶやきました。

    「はい、今は私の子供の足で元気にしています」

    そういって、おかあさんになった女の子は、手を引いている娘の足を見ました。そこには、あの赤い靴がお日様に輝いてほほえんでいたそうです。

    ― 嘘はいけないけれど、やさしい嘘なら みんなが幸せになれるようについて下さい―

    「そっかぁ。くつがしゃべるわけないもんね」

    ハルナが、ほほえみました。

    「うん。でも こんな嘘ならゆるせるじゃん。

    ハナコにも、もっとすてきなかみどめが、いつか来るかもね」

    シュンがいうと、

    「大人になったら、かえってくるかもね」

    と、ハナコもほほえみました。 おしまい

  • 20 ゆめへ