そして、月日が流れその女の子が大人になって、くつ屋のおじさんの所へやって来たそうです。
「これね、あの赤いくつが、持って行きなさいって言ったの」
そう言って手作りのドーナツを差し出しました。だいぶしらがのまじった頭をかきながら、おじさんは、
「そっか、あいつは、幸せなんだね」
と、つぶやきました。
「はい、今は私の子供の足で元気にしています」
そういって、おかあさんになった女の子は、手を引いている娘の足を見ました。そこには、あの赤い靴がお日様に輝いてほほえんでいたそうです。
― 嘘はいけないけれど、やさしい嘘なら みんなが幸せになれるようについて下さい―
「そっかぁ。くつがしゃべるわけないもんね」
ハルナが、ほほえみました。
「うん。でも こんな嘘ならゆるせるじゃん。
ハナコにも、もっとすてきなかみどめが、いつか来るかもね」
シュンがいうと、
「大人になったら、かえってくるかもね」
と、ハナコもほほえみました。 おしまい