「おっ。おおおおっおー 」
―ホームラン !!―
と、テレビのアナウンサーが叫んだ時です。
「ぎゃああああ」
とつぜん、まみも叫びながら野球選手のように部屋じゅうを走りまわりました。
「ど、ど、どーした?!」
パパもお皿を洗っていたママもおどろいて走り回るまみを見ました。
なんと、パパのお皿にあった残りのきんぴらごぼうをまみは、全部口にいれてしまったのです。赤い輪がいっぱいありました。まみは、すぐに机の上にきんぴらごぼうをはきだしてしまいました。はきだしても、はきだしても口の中に何もなくなっても、からくてからくてからいのが止まりません。
そのうえ、お水がほしかったまみは、パパのビールを飲んでしまったのです。パパのビールもにがくておいしくありません。なみだとはな水がいっぱい出てきます。まみの口の中は、たいへんなさわぎになっています。なんだか、熱いものが口の中にあるのですが、それをどうしたら良いのかわからず、まみは走り出してしまったのです。
「からーい、からーいいいい」
泣きながらぐるぐる部屋の中を回っています。
机の上を見たママが、いそいで コップに水を入れて、台所から持って来てくれました。
ごく ごく ごく
まみは、コップの水を全部のみました。
そして、何度か口をゆすぐと、やっと 口のからい感じが少なくなって、なみだがとまりました。しかし、まみの顔はママにひどくしかられていっぱい泣いた時のようになりました。
「ほらみろ、いうことを聞かないからだ」
そういいながら、やっぱりパパはテレビの野球を見ています。ママは、まあまあという顔をしながら、テッシュでまみの顔をふいてくれました。
まみは、おとなになったらこの赤い輪の形をした物がおいしくなるのかと思うとふしぎでたまりませんでした。
「でも、火 でなかった」
まみが、まじめな顔をして言うと
「いや。走り回りながら、まみは火をふいていたぞ」
と、パパが笑いながらいいました。そして、パパとママはお互いの顔を見て大笑いしました。 つづく