それからというもの、まみはごはんのおかずに赤い輪の形をした物がはいっていないか気をつけています。
 それなのに、それはまみの大好きなカレーの日の出来事でした。
パパのカレーは、ママがまみについでくれた おなべとは、別のおなべからつがれました。
それを見ていたまみは、ふしぎに思ってママに聞きました。

「ああ?なんでパパのカレーはまみのおなべとちがうの?」

そう言うと、ママは笑いながら
「火ふきカレーだからよ」
と、言いました。
「!!」
まみは、きんぴらごぼうの事を思い出して、絶対に食べないと思いました。しかし、パパのカレーをよく見てもきんぴらごぼうのような赤い輪の形をした物がありません。なので、まみにはどこが違うのかわかりません。今度は、どうやって見分ければ良いのでしょう。まみは、とても困った顔をして

「ママ。からいかどうかってどうやってわかるの?」

と、聞きました。
「そうね。からいかどうか、食べてみないとわからないものもあるわね」
「また、ちんぴらごぼうみたいになったらどうしよう」
まみは、とても不安になりました。これから、おいしそうな物があっても本当においしいかどうかどうやって調べたら良いかわからないからです。

すると、ママが
「ちょこっとだけ、なめてみれば?なんでもさいしょは 少しずつやるでしょ?それから、だんだん たくさんできるようになるでしょ。それといっしょでさいしょは少しね。
だいじょうぶそうだったら、たくさん食べればいいんだからね」

と、笑いながら言いました。

まみは、ママの言う通りだと思い、人さし指をさっとカレーにつけて、なめてみました。
「げっ。だめだ、からい

今度は、ママがちゃんとお水を用意してくれていました。

ごく ごく ごく

ほんの少しでも、パパのカレーは まみにはからすぎました。けれど、きんぴらごぼうよりは、だいじょうぶでした。

 まみは、おとなの口と子どもの口は何かがちがうのだと思いました。まみは、ママの手かがみを持って来て大きなあーんをしながら自分の口の中をのぞきこみました。そして、じっと見た後で今度はママの口の中を見せてもらいました。

「何もちがわない…」

 子どものまみとおとなのママの口の中にちがう所はありませんでした。

 まみは、おとなになったらパパのカレーをおいしく食べられる日がまみにも来るのだろうかと とてもふしぎに思いました。

                                                    おしまい