「おばあちゃんがいないなぁ」

「そうだね。どうしたの?何か用事?」

良太が聞くと、

「そろそろ、弟をいっぱい泣かしたからほうきをふってもらおうと思ってね」

つよし君が、言いました。

「何回 泣かしたの?」

「え、そんなの覚えてないよ」

つよし君は、いばって答えました。

「だって、覚えておかないと自分で直せないじゃない。1回悪い事をしたら、2回良い事をしないといけないんだよ」

「ばかだなぁ。良い事をしなくてもいいんだよ。そのためにおばあちゃんがいるんじゃん」

つよし君は、ふんっと顔を良太からそむけて、向うへ行ってしまいました。

 でも、次の日も次の日もおばあちゃんは公園へ来ません。不安になったつよし君は、ママに聞いてみました。

「さいきん、あのおばあちゃん見ないね」

「どのおばあちゃん?」

つよし君はママに聞かれて、いつもおばあちゃんが座っているベンチを見ました。すると、

「ああ、いつも公園を掃除している汚いおばあちゃんね。風邪でもひいたんじゃない?」

と、ママはきょうみがないように言いました。

おばあちゃんが来なくなって、公園のごみが目立つようにもなりました。つよし君は、公園が汚れていくのと一緒に自分の羽もどんどんぼろぼろになっていくような気がします。つよし君はとてもとても不安になってしまいました。

「どうしよう」

 それから毎ばん、つよし君は地ごくのこわい鬼に、いじめられる夢をみます。つよし君が弟をいじめたのと同じように、いじめられるのです。つよし君は、がまんできなくなって、おばあちゃんがどうしたのか、良太のママに聞いてみました。つよし君は自分のママにもう一度聞くと、どうしてそんなことを聞くのか答えないといけなくなると思ったからです。

「良太のおばちゃん。掃除のおばあちゃんはどうしたのかなぁ」

「あら、何か用事?」

「ううん。いつもいないなぁって思って」

「どうされたのかしらね。お年だしね」

「お年?」

「うん。もう天国へ行かれたかもね」

「えっ!そんなの困るよ」

とうとうつよし君は、泣き出してしまいました。

「どうしたの?」

つよし君のママが聞きました。

「なんだか、掃除のおばあちゃんのことが心配みたいよ」

良太のママが、そっとつよし君のママに言いました。

「つよし、この前も聞いていたけど、なんでそんなにあのおばあちゃんが気になるの?」

つよし君のママが、つよし君に何度も聞きます。けれども、つよし君はおばあちゃんとの事を言うと、叱られると思ってただ、泣くばかりです。

つよし君は、心の中で

「当分良い子でいなくちゃ」

と、とても反省しました。

それからというもの、つよし君はみんなをいじめなくなりました。 つづく


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