良太達が住んでいる団地のそばに小さな公園がありました。そ
の公園で毎日のように子供たちは遊び、ママ達はおしゃべりをします。そこにいつも全身黒尽くめのおばあちゃんが居ました。良太達はそのおばあちゃんのことを魔法使いのおばあちゃんだと噂をしていました。なぜなら、おばあちゃんのそばに黒猫とほうきがいつも置いてあったからです。しかも、ママ達は、おばあちゃんに近づいてはいけませんと言います。
良太は、ママ達に見えないようにそっと、おばあちゃんが座っているベンチの後ろからおばあちゃんに話しかけました。
「おばあちゃん、なにか魔法を使ってみて」
ママ達の様子を見ながら良太は早口で言います。すると おばあちゃんは、
「魔法?」
と、言って少し考えていました。
でも、美代ちゃんがそっと手を伸ばしてほうきにさわると、おばあちゃんは、はっとした顔をして、肩から斜めがけにしている黒いバックの中をごそごそと、かき回しました。そして、おばあちゃんが、バックから手を出してぱっと手を開くと、そこには白い棒がのっていました。
「さぁ、見てごらん。金太郎さんの顔があるだろ?この棒はね、どこを切っても金太郎さんの顔が出るんだよ」
そう言って、棒をぽきっと折ってくれました。すると、本当に同じ顔が出てきました。
「すごいね」
良太がおどろくとおばあちゃんは、得意げにまたぽきっと折ってくれました。
すると、また同じ顔が出てきます。
「わぁ。本当ね」
美代ちゃんも手を叩いておどろきました。
「さぁ、おあがり。これはあめだよ」
良太と美代ちゃんは、顔を見合わせて少しもじもじしていましたが、一緒にそのあめを おばあちゃんの手から取ってお口に放り込みました。
「甘い。すごいねぇ、おばあちゃん」
それを聞いたおばあちゃんは、大きな声で笑い出しました。
つづく