次に
一番目と二番目の姉が
2人で病室にきてくれた。

2人とも家事に育児に仕事に
忙しいのに、
きてくれた。


姉1『大丈夫?』
姉2『横になっていんだよ』

凄く言葉を選びながら、
慎重に話してるのが
よく解る。

似合わないなあ。



私『前置きはいいから
愛でやがれ!(笑)』


いつものノリで笑うと、
2人で目を見合わせた。

私がいつも通りじゃないと、
この人達は、キャパオーバーだ。

気を使われるのも、嫌だ。

だって、私達、

ずっと

仲良く3姉妹じゃないか。


姉s『お見舞い、ケーキ!』

ドンっと、ケーキの箱が置かれた。

お礼を言う間も無く、
2人は郁に群がった。


『キャーほやほやよ!』
『帽子可愛い!』
『お肌プルップル!』
『コラーゲンよ!』
『男の子オオオオオん!』
『ショタ萌えええええ!』
『叔母ちゃんでちゅよー!』
『あんよ小さい!パンツ飛んだ!』


母『あんた達!!
親に許可もらってから触りなさ…

あー!!
勝手に何か入れてる!』



姉2『棺に入れる折紙、
折ってきたから。』

姉1『最近のはハイカラねー』

姉2『鶴なんて何年ぶりかしらー』



まるでいつもの日常。

人によるかもだけど、

私はこれに、凄く救われた。

一緒に悲しんでもらえるのは

悪い事じゃない。

郁には嬉しい事だ。

でもそしたら、

悲しみ出したら

多分私、抜け出せなくなるから。

絶対、ダメになるから。


産後のホルモンバランスが崩れて

タガが外れてる今、

こうやっておかないと。





闇に、持ってかれる。



でも。

姉s『ねえ、郁、
旦那君に似過ぎじゃない⁉︎』



私旦那『え!』


どっちに似てるとか
そんな風に考えて見てなかったから。

目はある、鼻はある、

ああ、ちゃんと耳のシワまである。

良かった、早すぎたから

心配だった良かった。



そんな目線でしか見てなかったから。

改めて郁の顔を見る。



私『わ、あ…』

旦那『お、俺が寝てる…』




目の離れ方、

頬の高さ、

鼻筋から小鼻の流れ

口の角度

他にも沢山、というか全部。

旦那だった。



私『だって、本来なら
もっとお肉がついて
生まれるよね…

なんで、肉がつく前から
旦那に似てるの…⁉︎』


旦那『し、知らないよ!』




怖い、怖いわっ!!!


私が唯一、郁に慄いたのは
この時が最初で最後だった。

旦那の遺伝子強すぎ!
怖すぎ!



自分に似てると言われてから

更に、

旦那の郁を見る目は

とろける様な目だった。



き、気持ち悪いっ!(笑)

私にもあんな、愛しそうな目はしない。

長女には

デレッデレだけど。




でも、

旦那に似てる事で

郁がいたって証が

濃ゆくなるなら、

それが、泣く程嬉しい。