ふんわりとしたタオルに包まれて
小さな小さな赤ちゃんが、
助産師さんに抱かれてきた。


もう、

それだけで

十分だった。

可愛かった、愛しかった、

好きで仕方なくて涙が落ちた。




私『帽子、かぶってる…』

私、旦那『かわいい……!!!』



病院側の気遣いで被せてくれた。
先っぽをカラーテープで絞った
ガーゼの可愛いとんがり帽子。

病院の優しさが、また染みて、
心の奥のささくれにまた染みた。




助『…抱っこ、します?』


私『嬉しい!…私で、いいの?』


旦那『いいんだよ、俺は後で。』


助産師さんがタオルごと
胸に置いてくれた。



私『軽い…』



目頭が熱くなる様な涙はもう出なくて、

優しい涙が目尻からこぼれてく。



助『良いお顔、してますね』

旦那『本当、寝てるみたいだ…』

私『…ありがとうございます』

本当に、本当に。





やっぱり帽子は深く被ってて、

頭が見えない様に。

閉じた目がギリギリ

見えるか見えないか位深く被ってた。

でも鼻も高くて

口もちゃんとあって、

無脳症なんて事実忘れてしまいそう。




助『一応私さんが
作ってくれたお洋服
着せてあげたんですけど、
ちょっと大きくて…
でも似合ってます』


私『タオル、広げて、
見てもいいですか⁇』


助『どうぞ、』



まだ、皮膚も完璧じゃないからか、

赤黒くて、

触ったら傷がついてしまいそうだった。

でも、可愛い。



私の作った服を着せてもらって、

胸の前で手を重ねてた。

本当に、眠ってるみたいだった。



指も五本、足の指も五本、
耳も細部までちゃんと出来てて、

頭だけないなんて、嘘みたい。



なんで、


一番大事なものを


忘れてしまったんだろうーーー。