先日、携帯が鳴った。

知らない携帯番号だが、今の私は不特定多数の方と連絡しており、躊躇なく出た。


〝あ、出た〟

低いトーンの声。

〝私よ、家電にかけたら使われてなかったよ〟

〝今、◯と◯と一緒にいるの〟

〝私と◯はおばちゃんになってる、◯はきれいよ〟


名前を聞いて、目頭が熱くなる。
福岡の学生の頃の友人だ。

〝うれしい〟

素直に言葉が出た。


〝今ね、実家にいるの。子ども達も〟


〝そうなんだ〟

〝遊びに行っていい?〟

〝今日?〟

〝冬に〟

〝泊まる?〟

〝泊まらないよ〟
そう言って笑った。


〝働いてる?〟

〝働いてないよ〟

〝私達みんな働いているから〟
また笑った。

懐かしくて、嬉しくて泣く私。


〝なんで泣くと?〟

〝びっくりしないでね〟

〝うん〟


パパが亡くなったことを話す。

〝うそ〟


パパとは結婚式で会ったのみ。
それからの18年は年賀状のみだ。


〝大丈夫?〟

〝大丈夫。でも波があるよ〟

〝そうだろうね〟

〝会える?冬じゃなくて9月に行くから〟

〝うん〟

〝またかけるから、大丈夫?〟

〝うん〟


そう言って電話を切った。


結婚するまで、頻繁に会い連絡をしていた友人だ。

パパのことを話したが、ちゃんと受け止めてくれていた。
過分な言葉はなかったが、十分だった。


パパが亡くなって5ヶ月。

心から嬉しい瞬間だった。