私が住んでいる地区では、まだ梅雨入りしていない。
今日は、台風のせいか蒸し暑い。
パパのことでは、悩みが深い。
本来なら、亡くなった悲しみで日々不安でいたはずだ。生きるのもただ辛いはずだ。
辛いことに変わりはないが、疑問がありすぎて落ち着かない。
パパが残した仕事に、壮大な宇宙の夢がある。
三年前に、パパの会社に突然1組のご夫婦が訪ねてこられた。
東北から、一泊で滞在されていた。
ネットでも仕事をしていたのだが、気に入った土地があるので見たいとのこと。
早速車に乗せて、案内する。
和やかに話しながら向かっていたが、ご夫婦は、いずれは住む家を建てる土地を見に来られていた。旦那様は、東大出身で某国立大学の先生。小惑星探査機 H に携わっている方。同年代。パパは、絶対先生にここに来てもらいたい、と思った様だ。
残念ながら、先生はこの土地を気に入ることはなかった。
〝絶対来てもらいたい〟
そう思い、別の取って置きの土地を案内したらしい。
案の定気に入り、購入したいとなった。
パパは、赤字でこの土地を売った。
先生は、パパの人柄を大変気に入り、家もパパにお願いしたいと話し帰られた。
昨年10月ごろだったか、私が会社から出ようとしたら、他県ナンバーのレンタカーで、黒いプリウスが停まっていた。
見かけない車だなと、ずっと見ていたら、中から3人の黒い服装の女性が降りてきた。
すぐそばを私がゆっくり通っているのに、3人は誰も顔を上げなかった。
振り向くと、パパがいて、私に笑顔で手を振っていた。
誰だろうと不思議に思った。
後で聞くと、先生の奥様、お姉さん、お母さんの3人で、家の建設を進めるために来られていた。
世界的に有名な建築家の設計事務所で設計し、施工はパパの会社で建てるのだが、デザイナー曰く、
〝何度もやり直さないといけないかもしれない、実現できるかよく分からない設計〟
らしく、
〝余分にかかったお金は遠慮なく言ってください〟
との事だったらしい。
多分パパは言わなかったと思うが。
その時にお土産で、鴨のワイン漬け、チーズの味噌漬け、萩の月をいただいた。
萩の月は皆で食べたのだが、鴨とチーズは、機会がなく冷蔵庫で眠っていた。
ある日、
〝食べないの?私食べていい?〟
と聞くと、
〝いいよ〟
とパパは言った。
早速食べようとしたら、
〝先生は忙しいから来れなかったけれど、このお土産は、僕といつか一緒に一杯やりましょう、という事なんだよ〟
と付け加えた。
!
〝じゃ、食べない〟
と、賞味期限直前だったので、冷凍庫に入れた。
まだ、入っていると思う。
パパは、嬉しく、楽しみにしながら、設計をしていた。会社にも、義父にも言わず一人でパソコンで。
亡くなってすぐ、パパの携帯に設計事務所から電話があったらしい。
亡くなった事を事務所に伝えると、先生に連絡し、答えの連絡がある。
〝このまま進めてください〟
であった。
お葬式に、ご夫婦でお花を贈ってくださった。
義母がお礼の手紙と、品物を送ると、お礼の電話がかかってきたらしい。
義母は、息子の頑張っていた事を実現したいと思ったと思う。
〝お子さん、僕の大学に来てください〟
と話していたらしい。
今思うと、黒のレンタカーで現れた3人は、お葬式のようだった。
義父は、二級建築士ではあるが、自分の仕事に自信を持っている。
今後、進めるにあたって、設計は義父だ。
義父はCADを使えないので、手で書いたものを、パパの妹がCADにおこす。
見積もりもやり直したが、600万円の誤差が出たらしい。
とても、実現出来るものではないとボヤいていた。
でも、続けているようだ。
義父は、四人にも見せたいはずだ。
パパの夢も叶えたいはずだ。
頑張っている。
義父にパパのことを話した事は必然だったと思うが、78歳の体には、心にはどんなに大変であろうか。
ただ、わたしも、子どもたちも限界である。
今日で娘たちのテストは終了。
息子たちは真っ只中。
大学も決めなくてはいけない。
目の前のことを一つ一つやりながら、何か分かれば、好転すればと願わずにはいられない。
でも、それは果てしない宇宙の様だ。
今日は、台風のせいか蒸し暑い。
パパのことでは、悩みが深い。
本来なら、亡くなった悲しみで日々不安でいたはずだ。生きるのもただ辛いはずだ。
辛いことに変わりはないが、疑問がありすぎて落ち着かない。
パパが残した仕事に、壮大な宇宙の夢がある。
三年前に、パパの会社に突然1組のご夫婦が訪ねてこられた。
東北から、一泊で滞在されていた。
ネットでも仕事をしていたのだが、気に入った土地があるので見たいとのこと。
早速車に乗せて、案内する。
和やかに話しながら向かっていたが、ご夫婦は、いずれは住む家を建てる土地を見に来られていた。旦那様は、東大出身で某国立大学の先生。小惑星探査機 H に携わっている方。同年代。パパは、絶対先生にここに来てもらいたい、と思った様だ。
残念ながら、先生はこの土地を気に入ることはなかった。
〝絶対来てもらいたい〟
そう思い、別の取って置きの土地を案内したらしい。
案の定気に入り、購入したいとなった。
パパは、赤字でこの土地を売った。
先生は、パパの人柄を大変気に入り、家もパパにお願いしたいと話し帰られた。
昨年10月ごろだったか、私が会社から出ようとしたら、他県ナンバーのレンタカーで、黒いプリウスが停まっていた。
見かけない車だなと、ずっと見ていたら、中から3人の黒い服装の女性が降りてきた。
すぐそばを私がゆっくり通っているのに、3人は誰も顔を上げなかった。
振り向くと、パパがいて、私に笑顔で手を振っていた。
誰だろうと不思議に思った。
後で聞くと、先生の奥様、お姉さん、お母さんの3人で、家の建設を進めるために来られていた。
世界的に有名な建築家の設計事務所で設計し、施工はパパの会社で建てるのだが、デザイナー曰く、
〝何度もやり直さないといけないかもしれない、実現できるかよく分からない設計〟
らしく、
〝余分にかかったお金は遠慮なく言ってください〟
との事だったらしい。
多分パパは言わなかったと思うが。
その時にお土産で、鴨のワイン漬け、チーズの味噌漬け、萩の月をいただいた。
萩の月は皆で食べたのだが、鴨とチーズは、機会がなく冷蔵庫で眠っていた。
ある日、
〝食べないの?私食べていい?〟
と聞くと、
〝いいよ〟
とパパは言った。
早速食べようとしたら、
〝先生は忙しいから来れなかったけれど、このお土産は、僕といつか一緒に一杯やりましょう、という事なんだよ〟
と付け加えた。
!
〝じゃ、食べない〟
と、賞味期限直前だったので、冷凍庫に入れた。
まだ、入っていると思う。
パパは、嬉しく、楽しみにしながら、設計をしていた。会社にも、義父にも言わず一人でパソコンで。
亡くなってすぐ、パパの携帯に設計事務所から電話があったらしい。
亡くなった事を事務所に伝えると、先生に連絡し、答えの連絡がある。
〝このまま進めてください〟
であった。
お葬式に、ご夫婦でお花を贈ってくださった。
義母がお礼の手紙と、品物を送ると、お礼の電話がかかってきたらしい。
義母は、息子の頑張っていた事を実現したいと思ったと思う。
〝お子さん、僕の大学に来てください〟
と話していたらしい。
今思うと、黒のレンタカーで現れた3人は、お葬式のようだった。
義父は、二級建築士ではあるが、自分の仕事に自信を持っている。
今後、進めるにあたって、設計は義父だ。
義父はCADを使えないので、手で書いたものを、パパの妹がCADにおこす。
見積もりもやり直したが、600万円の誤差が出たらしい。
とても、実現出来るものではないとボヤいていた。
でも、続けているようだ。
義父は、四人にも見せたいはずだ。
パパの夢も叶えたいはずだ。
頑張っている。
義父にパパのことを話した事は必然だったと思うが、78歳の体には、心にはどんなに大変であろうか。
ただ、わたしも、子どもたちも限界である。
今日で娘たちのテストは終了。
息子たちは真っ只中。
大学も決めなくてはいけない。
目の前のことを一つ一つやりながら、何か分かれば、好転すればと願わずにはいられない。
でも、それは果てしない宇宙の様だ。