長唄「雨の四季」
神戸 酒心館にて 平成12年6月10日

師範資格を取得してから
私は直ぐに弟子を取って
教える事はせず
神戸の国際的な
土地柄を活かした企画を
地域のコミュニティセンター
インターナショナルスクール
外国人クラブなど
自ら持ち込み

「日本文化の水先案内人」
として活動を始めました


これはその中の一つ
記念すべき私のオリジナル

「日本の情景を踊る」

シリーズの第一回目

「雨」をテーマに
灘の酒蔵「福寿」
のイベントホールで
行った時の演目です



長唄「雨の四季」歌詞

音もなく 降るとも見えぬ春雨の 
酔いを勧むる時の興

実に鳥が啼く 東路の名に大江戸の賑わいを
ここに尽して 本町や 
春で朧でご縁日 茄子の苗や瓜の苗
でこでこおでん 味噌おでん 
とっぴきとの字のとんがらし 

飴屋が唄う 国尽くし 
備前の名産水密桃 
紀州じゃ有田の蜜柑入り 
津軽の名物リンゴ入り 
台湾名代のバナナ入り 
信州の名物胡麻と薄荷のすり合わせ 
大阪名物 市岡新田 
種まで真っ赤な西瓜入り 
江戸は谷中の生姜入り 
常陸じゃ西山杏入り
も一つおまけに甲州姐さん 
絞り上げたるブドウ入り
ホイ まけとけそえとけおまけだおまけだ

それそこのいた長刀 鐘もけむるか日本橋 
山王や神田明神 南北の江戸を鎮めの夏祭り
神のみゆきのうちこえて 
にわかに過ぐる夕立の
水に輪をかくあやにさえ 
果かなき人に大川の 
その舟口の澪印 濡れて深むか色と香の
よしあしそれも昔ごと 

常盤橋 江戸橋鍛冶橋 呉服橋 
古き伝えの日本橋 
とさんどうさん行き交いの 
人の世映す水の瀬に 
家名も高き川岸は 後藤後藤の向かい建ち 
折りしも注ぐ秋の雨に 木更津舟の見え隠れ 
それも八つ見の橋の景 

今日も急ぐか早立ちの 旅人しげき橋桁に 
聞くだに寒き冬の雨