長唄「花の三番叟」
1995年12月31日 神戸 
有馬温泉ダイヤモンドソサエティにて

これまでの人生に於いて
最も衝撃的だった
阪神淡路大震災

被災した正にその年
師範試験に無事合格した私は
同年12月31日の大晦日から
年明けに掛けて踊り越し
日本舞踊家として
異色のスタートを切りました

クリスマスには鎮魂のイベント「ルミナリエ」が行われ
神戸の町が復興の只中
私の舞踊家としての活動も
また「祈り」から
始まったのです


舞踊家として静かな覚悟を
決めたこの原点を
もう一度思い出す時期が
来た様に思います


長唄「花の三番叟」歌詞

うららかに うら若桜色妙に
芽ぐむ柳の眉晴れて
身にふさわしき三重がさね
織りなす綾は香に匂う 花の風流三番叟

おさえおさえ よろこびありや 
よろこびの ありあり見ゆる良き舞台 
父祖二代 伝え譲られ今日ここに
いただく烏帽子も面はゆき 女姿の紅返し

八雲立つ出雲の八重垣 根はかたく
遠つ世しのぶ連理の椿 その袖かけて結び松
小枝うれしくかざしては 
桃李の下の蹊したい
飾る錦に咲き競う ゆかりも深き花の宴

朧月夜の君ならで 契りかためしあかしとて
情けは通う舞扇 そよや翁にそと見参申し
ほんに可愛い嫁とらそ 
とるもとらぬも嫁とらそ
千代を八千代と囃したて 
まことにめでたき種蒔や

朱の曙 紺青の松に散り敷く金泥に
化粧まばゆく袖かえす さす手引く手に
七宝の汐みち来たる時津海 
風もしずかに 風もしずかに