花柳流 師範試験 課題曲
清元「北州」



この曲は
正月から歳の市まで
吉原の四季折々の
年中行事を綴ったもの

扇子一本で森羅万象を表し
更に

この演目の
案内役(狂言回し)から始まって
お客
幇間
花魁
新造
禿
廓の男衆
酉の市人々
お供を連れた侍客
吉原通いの客を乗せる馬方
年の市の物売り
手毬をついたり
羽根つきをする若い遊女

などなど

十数人の登場人物を
踊り分けるという至難の演目


師範試験の課題曲に相応しい
演目と言えるでしょう



「北州」とは
江戸城の北に位置していた事で
その様に呼ばれていた
吉原遊廓のこと

江戸には二大悪所
と言われる所があって
芝居小屋とその双璧を
競っていたのが
この吉原を始めとする
遊廓でした



この写真は師範試験の
直前に機会を頂き
度胸試しに舞台に掛けた時もの

本来は舞踊家の勝負着物
黒紋付で踊るのですが
未だ黒紋付で踊る程の
力量も度胸も無く
流石に憚ってわざと
この様な衣装を選び
臨んだ舞台でした


元々は歌舞伎の女方の
普段の髪型で今では
女性が舞台の素踊りの際に
被る「前割れ」という
結い方の鬘も初めてでした


写真からも
力み具合が見て取れますが
客席で見ていた母が
こんなに緊張して観た舞台は
初めてと言って居りました
それ位私も
緊張した舞台でした


清元 「北州(北州千年寿) 」歌詞

凡千年の鶴は、万歳楽と諷ふたり
また万代の池の亀の甲は
三曲にまがりて廓を露はさず

新玉の霞の衣ゑもん坂
衣紋つくらふ初買の袂ゆたかに大門の 
花の江戸町京町や背中合せの松飾

松の位を見返りの 柳桜の仲の町
いつしか花も ちりてつとんと
見世清掻の風薫る 簾かゝげて時鳥
鳴くや皐月のあやめ草 黒白もわかぬ単衣

いよし御見の文月の 亡き玉章の灯籠に
星の痴話事私事 銀河と聞けば白々と
白帷衣の袖にそよそよ

はや八朔の白無垢の雪白妙に降りあがり
馴染重ねて 二度の月見に逢とて見とて

合せ鏡の姿見に 露うちかけの菊襲
菊のませたる禿菊 いつか引込突出の

約束かたき神無月に 誰が誠より本立の
山鳥の尾の酉の市 妹許往けば千鳥足

日本堤を土手馬の 千里も一里通ひ来る
浅草市の戻りには 吉原女郎衆が手鞠つく

ちよと百ついた浅草寺 筑波の山の此面彼面
葉山茂山おしげりの 繁き御蔭に栄へゆく
四季折々の風景は 実に仙境も斯くやらん

隅田の流清元の寿延る太夫殿
君は千代ませ千代ませと 
悦びを祝ふ天櫃和合神
日々に太平の足をすゝむる芦原の 
国安国と舞納む

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