「深川というところは
お客が遊ぶにも
一筋縄ではいかないところ
どんなイイ男に口説かれても
大金を積まれても
芸者としての誇りは譲れない
それが深川というところさ」

漁師や木場の職人をお客とした辰巳芸者の
「張」と「意気地」を象徴するのが黒羽織姿

1、永代の帰帆
2、八幡の晩鐘
3、佃の落雁
4、仲町の夜雨
5、石場の暮雪
6、新地の晴嵐
7、洲崎の秋月
8、櫓下の夕照

などの遊里を中心とした情景に芸者の心意気や
好きな人を思ういじらしさを
肩の力を抜いて
サラリと表現するのが
とても難しい曲でした


長唄 巽八景 歌詞

大江戸と ならぬ昔の武蔵野の 
尾花や招きよせたりし 恋と情の深川や 

縁もながき永代の 帰帆はいきな送り船 
その爪弾の糸による 情に身さへ入相の 
きぬぎぬならぬ山鐘も 
ごんとつくだの辻占に 燃る炎の篝火や 
せめて恨みて玉章を 薄墨に書く雁の文字 
女子の念も通し矢の 届いて今は張り弱く 
いつか二人が仲町に しっぽり濡るる夜の雨 
堅い石場の約束に 話は積もる雪の肌
とけて嬉しい胸の雲 吹き払ふたる晴嵐は 
しんき新地ぢゃ ないかいな 
洲崎の浦の波越さじと 誓ひしことも有明の 
月の桂の 男気は 定めかねたる 秋の空 
だまされたさの真実に 見おろされたる櫓下 
疑ひ晴れし夕化粧 目元に照らす紅の花 
幾世契らん諸白髪 

浮名たつみの八景と その一と節を立川の 
流れを筆に残しける


白鳥佑佳舞踊集 
長唄 巽八景 🎞