秋に赤く紅葉するもみじも
夏には青葉が茂る事をご存知ですか?
と
墓石の陰から現れた高尾太夫が
問わず語りに寂しく問い掛ける
長唄 もみじ葉 【歌詞】
もみじ葉の
青葉に茂る夏木立
春は昔になりけらし
世渡るなかの品々に
われは親同胞の為めに沈みし恋の淵
われは親同胞の為めに沈みし恋の淵
浮みもやらぬ流れのうき身
ういぞ辛いぞ勤の習
煙草のんでも煙管より
喉が通らぬ薄煙
泣て明さぬ夜半とても無し
人の眺となる身はほんに
しんくまんくの苦の世界
四季の紋日は小車や
少しは高尾太夫の
供養になったでしょうか