季節の花と短歌と共に

季節の花と短歌と共に

 このブログでは、私の住む横浜市旭区にある「こども自然公園」で、散策をしながら見つけた季節の草木に目を向け、紹介していきたいと思います。さらに、植物に対して感動、感謝や感情を込めて、拙い自作の短歌を共に載たいと思います。

  色だけなら桜にも負けない、鮮やかさ‼

 

 ここ横浜市旭区にある、こども自然公園。公園にも4月の初めにようやく桜が咲き始めました。四月の初めまで、肌寒い日が続き、花見のピークは昨年より1~2週間遅れました。その分、いつもと少し咲く時期が違う他の花との共演も見られました。もっとも、咲いている場所は少し異なりますが、同じ公園で他の花も楽しめるという喜びには変わりません。4月7日に公園に行った際には、桜の花見の人が公園中に溢れるほど、人がたくさん訪れていました。ですからお昼時には、桜の木の下や、桜が見渡せる場所には多くの人がシートを敷いて、そこでお弁当やおにぎりなどを美味しそうに食する姿が見られました。観桜と散歩がメイン自分としては、そういう場所では迷惑になると思い、どんどん先へと歩き回っていました。すると、時に、遠くからでも分かるほどの鮮やかなピンク色の花が見受けられました。見受けられるというより、勝手に向こうから”飛び込んでくる”というくらいに、鮮明で強烈な印象を受ける色です。ピンクと薄紫の中間位の色で、樹には葉っぱが付いていないので、一層鮮やかに花が浮かび上がってきました。本数こそ少ないですが、公園の何箇所かでそれらを見かけつことができました。それは、ちょうど公園のオリエンテーリングのマークのように、「歩き回って探してごらん」と言わんばかりに、ポツンポツンと植えられているように思いました。今日紹介するのは、ミツバツツジです。ツツジという名前が付いているので5月頃の花かと思われそうですが、昨年もこの時期に咲いていました。他のツツジ科の花とはちょっと違うようですね。この公園では、桜と被らない所に植えてあるので、その鮮やかな姿を堪能できると思います。

 

  違っているのは、開花時期だけではないよね…!

 

 あと1週間ほどで5月に入ります。その頃はツツジやその後にサツキが咲き始め、満開になります。それはそれで見事ですね。ツツジの花が、ビッシリと並び咲く姿も壮観です。躑躅の丘やツツジで有名なお寺はたくさんあります。一方で、ミツバツツジは、そのようにびっしりと咲いているのを観たことがありません。日本のどこかにはあるのかもしれませんが、少なくとも私の知る限りではありません。また花の咲き方もちょっと違います。よく観られるツツジは、緑の葉っぱが一年中葉の落ちることの無い常緑樹で、その先端に花が咲きます。ですから、葉の緑と花の赤のコントラストが見られます。しかし、ミツバツツジは花が咲く時には葉は一枚もありません。ですから、花が開いた時には、葉に邪魔されることなく、きれいなピンク色がより鮮やかに引き立ちます。春先に咲く樹木には、その類も物が多いですね。蝋梅、梅、桜、木瓜(ぼけ)などです。「花が先か、葉が先か」という木があること、そして春先に咲く樹とその春半ば後に咲く樹と分かれることにも気付いてはいるのですが、「何故そのような違いがあるのか」が、ずっと私の中で謎のままでいます。虫に花粉を運んでもらうためなのか、風で花粉が飛びやすいようにしているのか?わかることは、一方は落葉樹で、他方は常緑樹であることが多いということでしょうか⁉誰か分かる人がいれば教えて欲しいです。また、この樹の名前に付いている”ミツバ”は、花が終わった後に、必ず枝の先端に”三つ葉”が出てくることに由来しています。よく観察するとなるほどと思います。更に、大きな違いがあります。これはあまり知られてはいませんが、東京大学でも研究論文が出されるほどです。それは、「ミツバツツジは、挿し木では殖やせない⁉」ということです。それを検証するために東京大学大学院農学部が何年もかけて発芽実験をした論文が出されています。一般的なツツジは、枝先を短く切って葉を少なめにして、水はけの良い土に差して置けば、比較的よく値が付きます。私も子供の頃、近所に住むおじいさんがそのようにしてやっているのを、見ようみまねでやってみて、発根させて記憶があります。ですから、つつじがあちこちでたくさん見られるもの納得です。一方のミツバツツジは、そのような方法では殆ど根が出てきません。千葉の南部に位置する清澄にある演習林(東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林千葉演習林)でミツバツツジの発根に関する研究がなされました。いろいろな条件設定で数年研究した結果を細かなデータとともに論文としてまとめ発表したものです。詳しいことは省略しますが、それによりますと、挿し木でも発根しないわけではありません。しかし、やはり発根率は、他と比べれば著しく低いと言えると結果だということだと思います。ということは、自然に任せて増えていくのを待つか、失敗を考慮の上で、出来るだけたくさんの挿し木をして、苗木を作っていくという方法で繁殖していったのでしょう。これからは、クローンという技術も使われると思いますが、何世代も生き残れるのか、そちらも分かりませんね。どちらにしても途方もない時間がかかりそうな方法しかないのかもしれません。このレアなミツバツツジの満開になった花を見られるのは、とても幸運とも言えますね。もしも自分の家にある人は、大事にしてくださいね。

 

<一首>艶やかな この色姿 有り難し

    ミツバツツジの 晴れ姿