以前スカステで放送されたものをブルーレイにダビングしてあるにもかかわらず、またまた先日放送されていた舞台番組を録画してしまった

そして、一昨日久しぶりに全編通して見ました。



宙組公演
『Je Chante -終わりなき喝采-』

主演は今は月組生の凪七瑠海さん。

フランスの国民的歌手シャルル・トレネの若き日を描いたミュージカル。
背景にはパリにナチス侵攻が迫り、重い印象もあるこの作品ですが、使われている曲は明るく華麗なレビューのシーンもあり、非常に調和のとれた作品に仕上がっていると思います。

とても素敵なフィナーレナンバーもついていて、中でも春風弥里さんをセンターに据えた黒燕尾がかなり素敵です

みーちゃんにとってもこの黒燕尾のシーンは忘れられないものになったと退団前の特番やいろんなトークシーンで語っておられました。


やっぱりよいなぁ。
『Je Chante』音譜音譜音譜



歌われる名曲の数々は、宝塚で馴染みのある曲が多かったし、主演コンビはとても似合っていて美しかった。
1幕の雨宿りから幻想っぽい場面につながるところなんて、シャルルとジジがまだとても初々しくて、本当に素敵でした。

この1幕の幸せそうな二人の姿があったからこそ、2幕での二人の切なさがより大きくなるんですよね。


カチャは華奢でお顔もめちゃくちゃ小さいので、合う娘役さんって限られてしまってなかなか難しいと思うのですが、花影アリスさんとは本当にお似合いでしたラブラブ


カチャ演じるシャルルの友人ジョニー役の鳳樹いちさんも素敵でした。れーれ(すみれ乃麗さん)との可愛いカップルが印象的。

ジョニーもよかったのですが、鳳樹さんが演じた『ロバート・キャパ』のフェデリコが、私はすごく好きです。

なんせ、うまかったんですよねぇ。
いちさん。
早々に退団されてしまい残念。



そしてだ✨。なによりも声を大にして言いたいのは、舞台に登場するだけで、その空気を変えてしまうだけの魅力と実力を存分に発揮した春風弥里さんがとてもよいです。

みーちゃんは、1幕ラストまで出番全くなしで、1幕ラストまでを初めて見た時は、

ん?これはシャルルの友人役の鳳樹さんが二番手の役どころなんじゃないの?

って思ったのですが、みーちゃんが舞台に登場するだけでピリッとした空気が漂いました。

それもそのはず。
みーちゃんが演じるのは、ナチの将校、ゲオルグ・シュタイネル少佐。
セリフをひとこと発するだけで、舞台がしまるというか、今まで流れていた空気とは明らかに違うある種の緊張感が伝わってくるんですね。

これ、実際に生の舞台を観ていたら、もっとすごい迫力を感じただろうと思います。


どんどん上がってきて抑えきれなくなるゲオルグの心の動きやゲオルグという人物を、みーちゃんは繊細に創り上げでいました。

シャルル(凪七)への嫉妬心。
2幕の舞台下手花道から劇場で共演するシャルルとリーズを見てなにかを感じ取ってしまったみーちゃんゲオルグの芝居なんてたまらなく胸が痛くなった。

リーズ(ジジ)の裏切りによる怒り。
それでもリーズを愛しているが故に許そうとするゲオルグの本気の愛。
ゲオルグは、彼女の裏切りを知らされる前にもリーズへの愛がどれほど深いものかを表現した歌を恐らくはセーヌ川を見つめて歌ったのですが、あの歌声からはゲオルグの強さやそれに反するリーズにすがるような心の弱さや切なさや痛みを感じさせ、さすがだなと。。。

みーちゃんの出番は決して多くなかったけれど、その実力と存在感は確かで、みーちゃんの演技力と歌唱力に惹きつけられました。

ゲオルグの放った拳銃の弾がシャルルをかばったリーズに当たってしまった時のゲオルグみーちゃんの芝居。
ガラガラと音をたてて崩れ落ちていく彼の心の様が手に取るようにわかりました。

あのあと、フラフラとその場を立ち去ったゲオルグがどうなってしまったのか、とても気になりましたが、今回久しぶりに観ても、やはりそう思いました。



みーちゃんの芝居を観ていていつも驚かされるのは、そこに「春風弥里」を微塵も感じさせないということ。

だから役に惚れてしまうんだろうなぁ


先日、『戦国BASARA』の伊達政宗や『愛と革命の詩』のジュール・モランを観ていてもやはり同じことを感じました。

役の中に普段のみーちゃんは全く見えてこないんです。

だって普段のみーちゃんだったら絶対照れて言えないセリフの数々を、当たり前ですが舞台では役としてカッコよく言っちゃってますからねぇ。
普段はあんなに照れまくりで自ウケ連発のみーちゃんなのに。
舞台姿は最高に素敵ですが、そのギャップもまたたまらなく魅力的なみーちゃん


だからこそ、みーちゃんが役として舞台上で生きる姿にかなりドキドキするし、赤面してしまうんです。



お茶会やトーク番組の時のみーちゃんとはいい意味であまりにもギャップがありすぎて、どちらの春風弥里さんも素敵に感じます。




『Je Chante』を観ていて、この作品なんかと流れが似てるなぁ…と思っていたのですが、昨日スカステで放送されていた星組時代の鳳稀かなめさんの主演作
『リラの壁の囚人たち』
かなと思いました。

この作品の初演は、涼風真世さんが主演。
かなめちゃんとりんりん(朝凪鈴さん) 
、そしてそこに絡んでくるたくさんの人々。

まずなにが似ているかというと、

クローバー別れから数年後に同じ場所を訪れる主人公が昔を懐かしみ回想し、本編にはいっていくところ。そして最後はまた始めに戻るところ。

クローバー舞台がナチスの占領下のパリの下町であったこと。

クローバーヒロインが死んでしまうところ。

クローバー重く暗い時代でありながらも流れる音楽は明るく希望に満ちているところ。
特に洗濯物の歌が可愛かった。


などなど。

けれど、『リラの壁の囚人たち』の方が、主人公エドに絡む人が多いことや、よりドラマティックなこと、ヒロインのポーラには婚約者ジョルジュがいること。戦争で車椅子での生活を余儀なくされ心を閉ざしてしまっていたジョルジュとの暮らしに辛さを感じていたポーラに一筋の光と安らぎを与えてくれたエドにポーラが感じてしまった恋慕の情、そしてエドもまたポーラを愛しつつあった細かい心理描写が美しく繊細に描かれていたことなど、ストーリーに厚みと深みが感じられましたし、この作品は間違いなく小原先生の代表作だと思います。



もうひとつ似てるかも…って感じたのは、ストーリーとかではなくて、芝居を創り上げるカンパニーの在り方なのですが、雪組の彩風咲奈ちゃん主演で上演された
『パルムの僧院』
です。
若き主演をまわりの芸達者な役者たちがうまい具合に盛り立てていて、とてもよかったのですが、『Je Chante』もそういうところがあったと思います。
あと、主人公とヒロインをセンターにして、その二人を守ろう助けようとする人々と、敵対し追い詰める人々との対比の演出がとても似ているかなとも思いました。



ああ…ガーン
またいつものごとく長々と語ってしまいましたが、今夜は超久しぶりに初演の
『リラの壁の囚人たち』
を観ようと思います。ニコニコ