昨晩、飼っていた小鳥が突然死した。死因は獣医によるとホルモン過多によるものではないかということだった。青い雌のセキセイインコで2019年にペットショップで購入。雛の時から餌付けして一緒に過ごしてきた。名前は「ちょち」。由来は特になく単に可愛いからそう付けた。
その日、僕は会社に出勤していた。夕方、自宅で妻が放鳥を終え、ケージに戻す時に容態の変化に気付いた。止まり木におらず、ふん切り網の上にべたっと体を伸ばし、息が上がっており、手足は動いていなかったという。手で捕まえも抵抗せず、吐き始めたため病院へ連れて行くと職場にいる僕の携帯に連絡があった。
病院で診察した女性の医師は、いくつかのファクターを挙げた。鼻の部分の色が濃かったことから「発情過多」ではないかと診断した。また、「肥満」「打撲」など。急を要する「卵詰まり」ではないようだということで、栄養剤を注射し、入院させて様子を見ることになった。
妻が会社に自家用車で迎えに来て、話を聞きながら自宅へ帰る途中、妻の携帯が鳴った。病院からで、ちょちが亡くなったと連絡だった。僕らはすぐに方向転換し、病院へ向かった。
ちょちは手術台に横たわっていた。白い布を掛けられ、線香を上げてもらっていた。医師が「ゆっくり息を引き取りました」と教えてくれた。瞼を閉じ、足の指は窄んでいた。既に身体は硬直し、冷たかった。
家に戻り、お出かけ用につかっていた小さいケージに冷凍剤を入れた板状のプラスチック容器を敷き、線香を上げ、あらためてお別れをした。
ずっとおてんばで、天邪鬼な子だった。やるなと言ったらやるし、やれと言ったらやらない。「ちょち、死ぬなと言ったら生きたのかな」と言葉にした瞬間、涙があふれた。
翌朝、妻がペット葬儀に自宅に来てもらい火葬した。車に炉が積んであり、その場で火葬してお骨を返してくれる。うちはマンションなので敷地で火葬などすれば住人から何か言われたら困るので、少し離れた場所で火葬してもらうよう頼んだ。火葬はほんの数十分だったとのこと。
その夜会社から戻り、ちょちの骨壷を粟玉を入れた小さな陶器とともに飾った。筒状の小さなペンダントもあった。葬儀のパッケージに含まれるサービスの一つで、容器の中には風切り羽根の一部と足の爪が入っていた。
発情過多という死因は、うちの飼い方に問題があった。うちではセキセイインコを3羽、アカオウロコインコ2羽、オカメインコ6羽を飼っている。全て朝は8時に起こし、夜は11時に寝かしていた。つまり、私達と同じようにしていたことで発情過多となったと考えている。鳥は日照時間が長いと発情する。実際にちょちは何度も卵を産んだ。無精卵で、温めることはほとんどなかった。
ちょちが私達に警告してくれたのだ。その日を境に私達は、鳥たちの就寝時間を「日没」とした。太陽が沈んだら布をかけて寝かせることを徹底していく。
気が強く、よく噛みつかれたけれど、時々寄り添ってきて、頬をこすりつけてくるちょち。他の鳥たちが水浴びをしていたり、おやつを食べているとやってきてみんなを蹴散らし、独り占めしていたちょち。
あまり鳴き声を出さないけれど、時々「プププ」と鳴いていた。「プププ」の回数を真似して僕もプププと言うと、同じように返してくれ、それをずっと繰り返すなどしてよく遊んだ。会話が成立していたような気がする。
思い出すと涙があふれる。とても悲しくて、とても寂しいけれど君との思い出を胸に僕は、他の鳥たちとともに生きていく。良かったら見守っていてほしい。良かったいろいろ教えてほしい。
たくさん思い出をくれてありがとう、ちょち。