大変ご無沙汰しております。

私用でバタつくことが多くなってしまったため、更新頻度が極度に落ちています。少しずつペースを戻していきたいと思っていますが、まだ当分落ち着くまでかかりそうです。

今回は、薬局プレアボイド事例を紹介しようと思います。

 

 

 プレアボイド事例とは

 

薬剤師の方はよくご存じだと思いますが、プレアボイドとは、"Prevent and avoid the adverse drug reaction"のことです。(様々な薬剤師会のHPにはこのように記載されています)

簡単に言うと、疑義照会によって処方変更が行われ、副作用の回避や適切な薬物療法の機会損失を防ぐような事例のことで、少なくとも年1回の報告が薬局にとって非常に重要な地域支援体制加算の算定要件となっています。

 

公益財団法人日本医療機能評価機構|薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業 (jcqhc.or.jp)にて報告された事例は全件公開されています。

併用禁忌や規格の誤りなど、比較的難易度の低い対応(しかし患者にとっては非常に重要です!!)から、患者の背景をきちんと聞き取って背景に潜んだリスクを回避した素晴らしい例まで存在しています。

 

 

 私はプレアボイドの事例についてどのように考えるか

 

併用禁忌や規格の誤りなどは、薬剤師としては見逃してはいけないレベルです。これらはマイナンバー保険証と電子処方箋が普及すればサーバで検知できるものになるはずです。また、規格誤りについてはAI技術が発見できる手前まで来ています。従って、将来的にはAIに譲るべき仕事だと思います。

 

一方で、患者とのコミュニケーションやこれまでの経緯の把握なしで見つけられない事例については、まだまだ人間が介入しないといけない仕事だと思います。今後AI技術が発展しても薬剤師が求められる仕事になっていくでしょう

ここでは、将来的にも必要な、比較的難易度の高い事例を紹介していこうかと思います。一部には私や同僚が対応したことなんかも紹介していければと思います。

事例に触れるだけでも参考になると思いますので、是非ともお付き合いください。

 

 

 実例紹介

 

今回は事例報告で共有されていた情報からの引用です。

処方内容は以下のとおり。

 

当該薬局での調剤は初、遠方の病院から通院困難のため近くの病院に移って来たようです。

投薬時の聞き取りで、処方内容は遠方の病院からの引継ぎとのことですが、これまでの規格と異なるとの患者の訴えがありました。

疑義照会したところ、診療情報提供書通りの処方をしているとの回答でしたが、その写しをお預かりしました。

診療情報提供書の誤りの可能性を疑い、情報提供元の医師に問い合わせたところ、規格の記載が誤っていたことが判明、その結果を処方医に報告し、正しい規格に変更になりました。

 

 

 

まとめ

 

 

疑義照会で「処方内容が診情通りで正しい」という病院からの回答で納得してしまう方もおられると思いますが、写しをもらい、情報源に問い合わせたことでリスクを回避した良い事例だと思います。

患者との間に「気軽に相談できる関係作り」、医師との間に「病院の情報についても安心して提供いただける関係作り」が築けていないと今回の事例はどこかで躓いていたと思います。

きちんと調べ切るだけでなく、コミュニケーション・信頼関係の重要性を考えさせられる事例でした。