寒い
最強寒波だかなんだかが来ているらしい。
昨今流行りの在宅勤務がメインなので、買い物も何日分か溜め込むことが多いので、一日外に出ないなんて日も多い。
そのため、あまり天気とかなんだとかをきにしないことが多いのだけれど、暖房を付けていてもすり抜けてくるこの冷気にはさすがに外の世界の寒さを実感させられる。
昔はとてもとても寒いところに住んでいたので、寒い中外に出るなんてのは当たり前だったような気がするのだが、いざ暖かいところにいる生活を長いこと送っていると、いつのまにかそれに慣れていき、外に出るのが難しくなってしまう。
それは人間の関係についても同じことのように思う。
昔は一人を気取って誰ともなるべく深入りしないような、そんなことを考えながら生きていた。
自分の人生は明るいことろばかりではなかったから。
中学生のとき、仲良くしていた人間たちに急にハブられるなんてことがあった。
当時の自分は、そんなこともある、と思っていたが、別段悪いことをしているでもなく、ふつうに生きているだけなのに、なんでこんなことにならなきゃいけないのか。
今までの、仲間内という暖かな世界から急に一人という極寒の中に放り出されたまま、中学を卒業した。
大好きな人と、いつも一緒にいたことがあった。
でもあるときからそれはぱったりと終わってしまった。
相手の好意に気づかないふりをし続けていたからか、なにが原因だったのかはわからない。
ただ単純に、なにかが原因で見限られたのかもわからない。
気がつけば話さなくなっていたその人との関係を思い返して、ああ、あの人とは、一緒の場所にいたんじゃなくて、こっちに来てくれていたのだと思い知る。
そして今までいた居た場所の本当の寒さを知った。
またあの暖かいところへ、今度は自らの足で向かって探しにいかなければならない。
でもその寒さの中蹲りながら、助けてくれと、声をあげることもできないまま、じっとしていることしかできなかった。
そんなことがあって、もしまた暖かさを知ってしまったら、そのまた先に、もしまた寒いところへ戻らなきゃいけなくなったら、きっと耐えられないと思ってしまった。
だから一人でいた。
それでも、手を差し伸べてくれる人がいた。
それは気まぐれだったり、興味だったり、はたまた純粋な好意だったりしただろう。
その手を一つ一つとって、また離して、また蹲って。
そう、もう暖かさを知ってしまった人間は、無意識にでもそれを求めてしまうようにできているのだ。
それに気づいたのはすごく最近の話。
なぜ皆、誰かと一緒にいようとするのか。
それは皆暖かさを知っているから。
それを手放さないために必死なのだ。
そんな単純なことにやっと気づいた今、
隣に居てくれる人を、
やっと素直に、愛せるようになった気がする。
どうせ離れてしまう、じゃない。
隣にいたいから、いて欲しいから、
繋ぎ止めるために、
正面から向き合わなければならない。
どうか君から受け取ったこの温もりが、
あなたにも返せていますように。