線で見る戦術は、点で物事を見ていては何も生まれない。
毎日チームと共に時間を過ごし、日本一を目指し練習を積み重ねていると、長期的にどう仕上げて行くか?を逆算する。
大会本番に合わせ、逆算すれば答えは簡単に出て来る。
年に数回ほど、もしくは1年に1回程の訪問で指導する場合は、僅かな時間の中で伝えるのは至難の業である。
そんな至難の業を簡単にクリア出来る技がある。と言えば、聞いてみたいと思う人は少なくないだろう。
そんな魔法やマジックは存在しない。
前文部大臣を務めた馳浩さんは、自分の試合が始まる前に、必ず会場のあちこちからリングを見渡し、点を見ることなく線で会場の雰囲気から、観客の反応を確かめてリングに上がった。
そんな魔法のような方法がある。と言えば知りたい!と思うのは、真剣に向き合っている指導者に違いないので、意地悪をせずに答えを出そう。
「点を線に見る」
これが出来れば簡単に"コト"が起こせる。
ひと昔前の指導であれば、星飛雄馬の父一徹の様な指導法の元、今では問題になりそうな指導で鍛え上げていたに違いない。
当時の教え子が今の姿を見れば、口をアングリ開けて驚くに違いない。
ドッジならドッジを、バレーならバレーならば、その競技がやりたくて練習をしているわけだが、指導者はついつい基本を忠実に学ばせたくなる。
でも…
子ども達選手は、頭ではわかっていても、基本が大事だ!基礎が大切だ!と言われても、正直何が大切なのか?は理解出来ない。
身にしみて気づいた時、はじめて身につくものであり、まずはやりたいコトをやらせながら、指導者は高みの見物と腕を組んで見ていればいい。
子ども達の集中力は、せいぜいもって4分が限界。
その短い集中力の事も考えながら、まずはやりたいコト、つまり試合をやらせてみる。
その試合の中で自分自身が感じることが、その選手にとって今必要な技術でおる。
その試合をやらせる中で、目に入る動きをチェックする。
試合の中で自分自信が感じたコトを喋らさせる。
キャッチをうまくなりたいとか、アタックを決めたいとか、サーブを入れたいとか、それなりの欲がある。
そこで基本やつまらない練習が必要か?を説明する。
説明したあとに、個人へのアドバイスを送る。
送った後は何をやっても「褒める」。
褒めれるところがなくても「褒める」。
出来れば具体的に褒めずに、何となく褒めるだけで子どもは何かを考え出す。
それが正解であっても、不正解であってもどうでもいい。
初心者にしても同じように接すると、上目遣いで頭の上にイメージを作る。
それはまるで漫画の吹き出しのように、誰の頭の上にも浮かび上がる。
その吹き出しを見逃さずに畳み掛ける。
子ども達は自然と輪を作り、瞬く間にディスカッションをはじめ出す。
その瞬間から点は線へと繋がって行き、まるで魔法にでも掛かったかのように、レベルが一気に上がる光景が目に入って来る。
指導者の出来ることはこの程度であり、大きな進歩は個々の想い一つで差は出て来る。
子どもにヒントなんていらない。
もったいぶる時間が勿体無い。
どんどん出し惜しみする事なく、答えを出し続けてあげればいいのだ。
答えの中から考える「式」が、とても大切なのであり、答えなんてどうでもいい。
因数分解を習った時に、世の中に通用しないとたかをくくっていたが、こんなところで活かされるとは驚くしかない。
点から線で見る戦術。
一度試してみてはいかがだろうか?