ベンチワークとは何か?!
バレーの練習終了後、保護者とそんな話しをしていた。
偶然、ベルト姿を巻いた監督が、嬉しそうに笑らう集合写真がSNSに映し出されていた。
昨日9月3日 文部大臣馳浩が主催する、石川県で行われた"ノーザンライト杯少年少女ドッジボール大会"の栄冠を掴んだ、千坂ドッジファイヤーズ。
どんな戦いだっかは、優勝報告だけではわからないが、集合写真の笑顔で想像すると、全員で勝ち取った勝利だったと一目でわかる。
「厳しい戦いに物語を付けて、勝ち抜きました。」と報告を受けた。
技術だけではなく、選手起用から試合前のミーティング、試合間の声掛け、そして何よりベンチワークで掴んだ優勝だったに違いない。
先日、ワールドカップ出場を決めたサッカー日本代表 ハリルホジッチ監督が「マネジメントこそ、ベンチワークである。」と提言している。
このベンチワークとは何か?
読んで字の如く、ベンチでの仕事ととなる。
ベンチにはレギュラーで戦う選手だけでなく、控えの選手も大きな声で声援を送っている。ただ声を出すだけでなく、試合に直接関係ない仕事がそれぞれにある。その仕事を何も言わずに理解し、こなせる選手を普段の練習から育てることで、見えない力が発動される。いつメンバーチェンジの声が掛かってもいいように、常に心構えが出来ている。
改めて、今回の報告の中にある「物語を付けて…」に注目する。この文字の中には、試合に出る選手だけでなく、ベンチの選手もシッカリと試合に参加しているということだ。
プロの世界に目を向けると、今は亡き仰木監督を思い出す。
普段の仰木監督は、2軍の練習によく顔を出したと言う。そこで目に入ったのが、どこにでもある名前の「鈴木一郎」。
彼の才能を前監督の土井監督から話しを聞き、自分の目で確かめ、その才能を開花させる為に、登録名を「ICHIRO」にした。
その後は皆さんもよくご存知の通りだ。
今回の優勝に大きく活かされたこの「物語を付けて…」は、戦う選手だけでなく、厳しい戦いの中に乗り込むチームの一体感が生み出した結果である。
これは試合で行われる、重要な監督のマネジメント力の賜物であり、普段の練習の中で、シッカリとマネジメントされ、選手の体に脳に刻み込まれているか?試合中に起こる"奇跡"と呼ばれる摩訶不思議なプレイの正体は、普段の練習の延長線上でしかない。練習中で出来ない事は、試合中に出るワケがない。
普段から選手のメンタルやフィジカルを把握し、それらに合わせて練習内容を変え、試合を見据えた練習内容を繰り返し、積み重ねていたのだろう。
監督が思い描く理想の形は、選手達にキッキリと伝わっている。
その証拠にここ数週間、文字だけのやり取りだけで、監督はアドバイスをインプットし、頭の中で整理し、選手に的確にアウトプットしていた事が想像出来る。
よくある事だが、試合中に大きな声で怒鳴っている監督がいる。ひと昔の自分もそうであったが…
残念ながら選手には、その怒鳴り声を正確に聞き取り、瞬時に理解し、行動に移せる事はない。
良いも悪いも、練習で身についた事しか、試合中に発揮させる事は出来ない。
試合をするのは選手であり、選手に任せきりとなる。選手が試合の流れの中で、反映させていくには、普段の練習でしかない。常に試合をイメージした練習方法でチーム作りを進めないと、大舞台で発揮させる事はない。
今回の優勝に繋がった大きな理由は、普段の練習の中で行われた、緻密な計算から弾き出される結果である。と想像する。
指導者がお金を出してでも手に入れたいものは、「マネジメント」と「キャリア」であると思う。
こればかり一朝一夕で身につくものではない。キャリアの中で知らず知らずに身につくものでもない。
様々な分野から得た情報をまとめ、自チームに活かす為に、時間を費やし、試合に挑んでは頭を抱えて迷走する。
それらを繰り返し、投げ出さずに向き合った結果、自分の内面から湧き出て来る、自分だけの経験値となる。
マネジメントを手に入れると、もれなくベンチワークが付いて来る。
それは、指導者だけでなく、たとえ試合に出れない選手にとっても、マネジメントに付いて来るベンチワークを身につける事で、人生にとって大きなプラスになる事は言うまでもない。
クソ真面目にドッジと向き合い、取り組んだ結果、見事監督の腰に、輝かしいベルトが巻かれた。
千坂ドッジファイヤーズの皆さん、優勝おめでとうございます。