めだか屋で奮闘しまっせ（フィクションです。）
第二十六話 召田輔とあかねの漫遊記の巻（その２）（１） ＜＝＝以前はこちら
第二十六話 召田輔とあかねの漫遊記の巻（その２）（２） ＜＝＝以前はこちら
第二十六話 召田輔とあかねの漫遊記の巻（その２）（３） ＜＝＝以前はこちら
第二十六話 召田輔とあかねの漫遊記の巻（その２）（４） ＜＝＝前編はこちら
第二十六話 召田輔とあかねの漫遊記の巻（その２）（５）
召田輔（めだすけ）は胸を張って「わいは監督でっせ、任せときなはれ。労働何とかっちゅうのがあるんやさかい、わいが会議でビシッと休み取ったるさかい。」と自信満々に答えると、
あかねは「そう、労働法で１０日以上連続で仕事したらあかん事になってるって知ってたん。」
「当たり前でっせ、ちゃんと観光出来る様にしますさかい、安心しとり。」
「頼もしいわ。」と、胸を撫で下ろしたあかねだった。
翌日、展示会場である会館へ行くと、実行メンバーと現地の作業担当者たちが集まっていた。
各々の自己紹介の後、召田輔の「宜しゅう頼んまっせ。」の発声で作業開始となった。
全員で、めだかブースの範囲の確認と小間の線引きが終わると、早速、機材や装飾パネルが運び込まれ設置されていった。
召田輔とあかねは、販促リーダーの若者と一緒に観賞コースの確認や指示パネルの取り付け、めだか業者との交渉などを進めていた。
三度目ともなると慣れたもので、予定より早く設置作業を終えたので、召田輔は休憩を兼ねて明日以降の打ち合わせをすると称して打ち合わせコーナーへ全員を集めた。
召田輔は、不足している物が無いかの確認と運営スケジュールの説明、めだかの搬入予定や管理方法などを報告して、最後に休みについて話を付け加えた。
「一カ月の長丁場になりまんので、労働何とか法に違反せんように一週間に一編、交替で休みを取る様にしようと思いまんねんけど。」と言うと、全員が「賛成。」と手を上げたので、
販促リーダーが「皆の体の事まで考えてもらって、流石、監督です。」と言って、指示を続けた。
「実行メンバーは実行メンバー間で調整して交替で休める様に、それと、実行メンバーは担当していただいている作業が代わりに出来る様に覚えて、作業担当者の方が休める様にしてください。」
召田輔が「おお、流石、販促リーダーでんなあ、直ぐにこうやって指示出来まんねんなあ。」と感心していると、リーダーが続けて、
「それから、監督は召田輔さんとあかねさんと僕とで交替して休みますので承知しておいてください。」と言ったので、「エッ。」と予想外の事に、二人で休みたいとは言い出せなくなった召田輔だった。
打ち合わせが終わり、
「どないすんのん。」と袖を引っ張るあかねに、
「せやかて、こないなるとは思てなんださかい、しゃーないでっしゃろ。」
「一人で観光せえって言うの。」
「それしかおまへんでっしゃろ。」と、ひそひそ話す召田輔とあかねの傍へ、
販促リーダーが近付いて来て「お休みは何曜日がいいですか。それとも、休みたい日がありますか。」と聞いてきた。
もじもじとしている二人を見て、「お二人で休みたいですよね。分かってますよ。お二人が休みの日は監督を代行しますので、その代わりに僕が休みの日はリーダー代行をお願いします。」と、リーダーの気遣いにホッと胸を撫で下ろした二人だった。
そして、広島での展示会が盛大に開催され、連日多くの客で賑わっていた。
召田輔たちも客の誘導や案内役、めだかの在庫確認、補充、トラブル対応など、息つく暇も無く従事していた。
二人は最も余裕が有りそうな後半の平日を選んで休日を貰う事にし、
「もうすぐ休みやで。」
「観光に行ける。」ことを励みに頑張るのだった。
（つづく）
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