妄想、BL(O×N)のお話です。BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。











《side  O》

湖の少し手前から、1年前と同じように水音が聞こえる。
はやる気持ちを抑えてそっと近付いて木の陰から湖を見ると、去年と同じ、水浴びをする和の姿。

本当にいた。
夢じゃないんだ。

驚かさないようゆっくり行こうと思ったのに、姿を見たらどうにも焦って急ぎ足になり、がさがさと木が派手に揺れてしまった。

「何・・・?!」

熊かと思ったのだろうか、少し怯えた顔で和が振り返り、俺を見てほっとした顔に変わる。

「なんだ、人間か」

・・・やっぱり覚えていないんだな。
分かっていたこととはいえ、顔を見たらもしかして思い出しはしないかと薄い期待を抱いていたからほんの少し落胆する。

でもまた会えて今日を過ごせるのだから、俺だけでも思い出を積み重ねていけばいい。
そして和の中の俺の欠片が少しでも増えれば。

「そなた、名は何という?」

「智です。あなたは・・・天人ですよね?」

「ふむ。智か。なんだかしっくりくるな。
その通り、我は天人の和という」

去年と同じように、何の恥じらいもなく俺の前に綺麗な裸体を晒しながら衣を纏い、そして俺の家に行きたいと言い出した。

これまた去年と同じようにいろんな木の実や山菜を採り、桑の実を食べて「美味い」と顔を綻ばせる和。
なんだかあの1日を繰り返しているような不思議な感覚になる。

和が俺と出逢った湖にまた来たいと思ってくれたってことは、多少ぐいぐいいっても嫌がられないだろうか。

少しでも去年より和と触れ合う時間を増やしたくて、道すがらそっと手を握ってみた。
和は一瞬驚いた表情を浮かべたけれど、すぐに「智の手はあったかくてこの季節向きではないな」と言いながらもしっかり繋いでくれた。

人目につかないよう家に入ると、すぐに和が抱きついて唇を合わせてきた。
もう逢えないと思っていた愛しい人に唇を啄まれたら体はどんどん熱くなる。

少し唇を離して和の顔を見ると、熱く潤んだ目が俺を見つめていて・・・。
潤さまの言うように、本当に和の心の奥底に俺を残すことが出来たのかもしれない。

そこからは言葉もなく、無我夢中で衣を脱ぎ、脱がせ、お互いを求めた。

明日、最終話です☺️