妄想、BL(O×N)のお話です。BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。











《side  O》

和の肌はどこもかしこも甘く、夢中になって貪る。
以前、絵のお礼にもらった香油があったことを思い出し、和のそこに垂らして指を埋め込むと柔らかいのにきゅうっと指を締め付けてくる。

「もう指はよい。早く智のそれを・・・」

昂るほどに増していく色気に煽られ、薄い唇を割って舌を滑り込ませながら和の蕾に己を沈めた。
本能のままに腰を送ると和の中もそれに応えるようにうねり、絡みつき、肌は桃色に色付いてくる。

薄い衣の上で乱れる和はこの世のものとは思えないほどに綺麗で、ずっとここにいてくれたらいいのに、なんて・・・叶わない望みを願ってしまった。

それからも夢中で和の体をただ求めさすがにもう出るものもなくなった頃、夕七つの鐘が鳴った。

・・・もうそんな時間か。
我を忘れすぎだろう。

苦笑してると和も起き上がり「もう帰らないと」と身支度を始めた。

やっぱり帰ってしまうのか。
そもそも天人と会えたことだって夢でもおかしくないのに、その天人と言葉を交わし体まで重ね・・・これ以上を望むのはそれこそバチが当たると分かってはいるけれど、別れるのは辛い。

それでも仕方ないと自分に言い聞かせ、まだ明るいけれど一応龕灯(がんどう。今の懐中電灯のようなもの)を持って和を出逢った湖まで送っていった。

湖につくと、和が袂から笛を出して吹き始めた。
でも音は聞こえない。

「これは天人にしか聞こえぬ」

俺の頭の中を見透かしたように和が笑って教えてくれた。
いつか、和が吹く笛の音を聞けたらいいのに。
きっと水晶が転がるような音に違いない。

しばらくすると空に小さな光が見え、それがどんどん近付いてきて・・・光の中に人が見えてきた。
あの人も天人だろうけど、和と違ってすごく男っぽい、眉のきりっとした天人だ。

「潤という。我の友であり見張り役だ」

と和が教えてくれた。

「和さま。今回はゆったりとした滞在で。
・・・その男は人間では?」

やたら目力の強い人間で、天人といろいろ致してしまった後ろ暗さもあって(和に誘われたんだが)なんだか目を合わせられない。

「人間とこんなに長く過ごすなど何を考えておられるのです。
下界に降りることさえ大神は良く思っていないのですよ」

「ちょっと人間の暮らしを見てみたいと思ってな。智に案内してもらったのだ。
どうせ我と逢った記憶は消すのだし、我も忘れるのだから良いだろう?」

「・・・え?ちょっと待ってください」

出逢ったことは偶然だけれど、やはり人間風情が天人に近付いてはいけなかったのだ、と、いたたまれない気分で2人の会話を聞いていたけど、和の言葉に思わず声を上げた。


時間について、今回は江戸時代くらいの時間を採用してみました。
その頃は日の出から日の入りまでを昼、日の入りから日の出までを夜としていました。
さらに昼を6等分、夜を6等分して日の出を「明け六つ」、日の入りを「暮れ六つ」のように表していました。
「夕七つ」というのは暮れ六つの2時間ほど前になるので、夏至だと17時半くらいでしょうか。
旧暦七夕だと夏至から2ヶ月くらい経ってるので17時くらいになるのかなー。
って感じです。
昔の時間、難しいですね(^◇^;)