妄想、BL(A×N)のお話です。
BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。










《side  A》

何回目かのデートの後、彼女に「もう少し一緒にいたい」って言われて、面倒だな、なんて思いながら並んで歩いて公園に入った。
ここは小高い丘みたいになっていて、暗くなると夜景が綺麗に見えるからカップルも多い。
ちょうど陽が沈んでオレンジと紫が混ざる空と、高層ビル群の明かりがポストカードみたいに見える。

綺麗だなぁ、とぼーっと眺めていると「相葉くん」と呼ばれ、横を見ると彼女がそっと目を閉じて顔を上向けた。

これ・・・キス待ちだよね・・・?
分かってるけど、かずくんのことが好きなのにそれを隠して彼女にキスをするなんてことはどうしても出来なくて。
「なんか冷えてきたね!そろそろ帰ろっか!」
って気付かないふりして駅まで送った。

もう・・・潮時だよね。
かずくんとのデートの練習のために付き合ってたようなもんで、そんな人でなしなことはもう辞めなきゃ。

数日後、彼女に別れを告げると
「私のこと好きじゃないのは何となく分かってた。
でもたくさんデートしてくれてありがとう」
って笑ってくれた。

きっとたくさん傷つけたと思うのに。ごめんね。
俺もちゃんと自分の気持ちに片をつけなきゃ、と思ったのに・・・。
かずくんに告白して近くにいられなくなるのがどうにも怖くて、結局彼女と別れたことは言えないまま家デートの練習を申し込んだ。

ほんと・・・だめだめだな、俺。
でもこれでちゃんと最後にしよう。
ここできちんと告白して、自分の気持ちに蹴りをつけよう。
そう決めて、かずくんを家に呼んだ。

家デートって何すればいいのかよく分かんなくて、2人ベッドに並んで座って漫画を読み始めたけど、これってデートじゃなくていつも通りな感じだよね。
まぁいっか。

てか、どうやって彼女と別れたこととかかずくんが好きなこととか切り出せばいいんだろう。
何でもない話から入る?それともいきなり?

迷いながらちらちらかずくんの様子を伺うと、かずくんが俺の唇あたりをぼーっと眺めていることに気が付いた。

え、なに?
なんかそんな切なそうな目で見つめられるとドキドキしてきちゃうんだけど。
ちょっと口が半開きでエロいし・・・。

思わず。
本当に、そんなことするつもりじゃなかったのに。
その薄い唇に吸い寄せられるように唇を近付けていた。