妄想、BL(O×N)のお話です。
BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。
《side O》
このまま時が止まればいいのに、と思ったけれど、「にのちゃーん!4限始まるよー!」という声にそっちを見るとミルクティー色の髪の毛をしたモデルみたいな人がこっちにぶんぶん手を振っていた。
彼は「今行くー!」と返事してから、俺に「絵見せてくれてありがとう」と言い残して行ってしまった。
「にのちゃん」って呼ばれてたな。
にの・・・名字かな?
また会えるといいな。
あのかっこいい人がにのちゃんの恋人かもしれない、って可能性は無理矢理頭から締め出して、次にもしまた会えたら今度こそ名前を聞こうと心に決めた。
中庭に行けばまた会えるかなと思ったけど、翌日からしばらく雨が続いてなかなか中庭に行けず、にのちゃんと校内ですれ違うこともなかった。
キャンパス広いし、学部がたくさんあるから生徒数も多いし、中庭でにのちゃんが声をかけてくれたことだけでも奇跡だけど。
ようやく雨が上がり、期待を込めて昼休みに中庭に向かうといつも座ってるベンチにすでににのちゃんが来て座っていた。
「あ、大野くん!良かった、会えて」
嬉しそうな笑顔に心臓がぎゅんっと掴まれる。
「え、なんで名前・・・」
「こないだ僕のこと呼びに来た背の高い子、相葉くんていうんだけど、教育学の授業が大野くんと一緒なんだって。
一回隣になった時にノートの隅に書いてた落書きが上手くて印象に残って、出席取った時に名前覚えたって言ってたよ」
まじか・・・。全然覚えてねー。
隣に誰が座っても全く気にしなかったし、話しかけようとも思わなかったし。
てことは相葉くんは同じ1年生だ。
「えっと、にのちゃん?も1年生?」
馴れ馴れしいかもとは思ったけど、それしか名前を知らないからおずおず聞いてみた。
「うん、経済学部の1年。
二宮 和也です、よろしくね」
二宮だからにのちゃんなのか。
その日から、雨じゃなければ必ず中庭で会って話すようになり、相葉ちゃんもいたりするけど一緒にご飯を食べるようになり、付き合うようになるまでさほど時間はかからなかった。
実はかずも一度校内ですれ違った時からずっと俺のことが気になってたらしい。
お互い一目惚れ。まさに運命の相手だった。