今日からお昼枠であげていきます、こちらのお話はリクエストいただいた「大宮の切ないお話」です。
タイトルはDISH//さんの「猫」。
「君の膵臓をたべたい」からあいみょんさんが作詞したということで、そういう感じのお話です。

にのちゃん、お空に行きます💦
最後はハピエンにしておりますが、こういうお話は読める時と読めない時があると思いますし、苦手な方もいらっしゃると思うので無理なさらず☺️
「ミズキリ」の方が苦しい展開を抜けたのでその間に切ない系をあげておこうかな、と思ったので。

大丈夫な方、お付き合いくださったら嬉しいです😄
全10話、よろしくお願いいたします🙇‍♀️





妄想、BL(O×N)のお話です。
BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。










《side  O》

何か特別なことがなくても、ただ一緒に飯食って、一緒にテレビ見て笑って、一緒に買い物行ったりして。
そんな普通の日々を過ごすことが当たり前のことじゃないなんて・・・思わなかった。

⭐︎⭐︎

かずと会ったのは大学の中庭。
勉強は苦手だったけど就職のことも考えて必死に頑張り、それなりに名前を知られている私立大に無事合格したものの・・・都心にキャンパスを構えるその大学の生徒はみんなおしゃれできゃぴきゃぴしてて、俺とは波長が合わなかった。

入学して2ヶ月経っても一緒にお昼を食べる友達も出来ず、でも元々1人が苦ではないからサンドイッチを齧りながら中庭で趣味の絵を描いたりしていた。

ある日、いつものように俯いてスケッチブックに向かっていたら、そこにすっと影がさした。
ん?と顔を上げたその瞬間、俺は恋に落ちた。

覗き込んできたのは透き通るような白い肌にきゅるきゅるな琥珀色の目をした男の子。

今まで付き合ったことがないわけではないけど、恋とか愛とかよく分からなかった。
でもその子と目が合った瞬間、「この子が運命の人だ」って思ったんだ。
理由なんて分からないけど、恋に落ちるってそういうものだと思う。

「これ、なんの絵?」

男の子にしては少し高い声が耳をくすぐる。

「え、なんか・・・この景色の俺のイメージ、的な・・・」

その時俺はただ景色をスケッチするだけじゃ面白くないな、って、景色に自分の印象を織り込んだ抽象画みたいなのを描いていた。

「なるほどね。あなたにはこう見えてるんだ。素敵だね」

全然上手く説明出来てないのに、その子はきっちり汲み取ってくれて、しかも「素敵」だなんて言ってくれた。

名前、何ていうんだろう?
何年生なんだろう?
また会ってくれるかな?

彼のことをいろいろ知りたいしもっと話したいのに、きゅるきゅるの目を見ると緊張しちゃって上手く言葉が出てこない。
ただ黙ってスケッチを続ける俺の手元を彼はずっと熱心に眺めていた。