妄想、BL(A×N)のお話です。BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。
《side A》
え・・・?
何?どうなってんの、これ?
周りを見ても白ばかり。
上を見上げれば、十二単みたいな着物を着て額に金の飾りをつけたびっくりするくらい綺麗な女の人の顔。
でっっか。
奈良の大仏くらい大きいんじゃね?
俺はその人の手に人形のようにがっしり掴まれていた。
大きさや、人間離れした美しさ、そして空を飛んでるところを見ると絶対人間じゃない。
もしかして山の神?
俺、名前呼ばれて返事しちゃったから・・・。
あれ、かずくんじゃなかったんだ。
どうしよう、かずくんともう会えないのかな?
そんなの絶対やだ!
何とか帰る方法探さなくちゃ!
とはいえ周りはただ白いばっかりでどこを飛んでるのかも分からない。
せめて日本のどこかに着けばいいな。
そう思ってると急に周りの白がどんどん薄れていって、視界がクリアになっていき、桃の木が一面に続くピンク色の世界に降り立った。
「おい!ここどこだよ!元の場所に返せ!」
女の人の足元に降ろされた途端、声が届くように叫んだ。
「そなたは妾のペットになったのじゃ。喜ぶがよい」
「・・・はぁー?!喜べるわけないだろ!ふざけんな!」
いきなり連れてきてペットって・・・神さまってこんなに横暴なのか?
もし元の世界に帰れたらもう絶対神頼みなんてしないんだからな!
年末年始だって神社には行ってやらない!
怒りに任せて叫んでると神さまが眉をしかめ、
「ちと、うるさいのぅ。大人しくしておれ」
と指を振った。
あ、やばい。と思ったけど後の祭り。
俺の体はぐんぐん縮んで硬くなってく感覚。
「その姿も可愛くて良いぞ」
そう言って神さまはどこかに行ってしまった。
俺、今どんな姿になってるんだろう。
歩くのもいつもと同じには歩けず、よろよろ這うように草の上を歩いていくと、そこに溜まった水滴に映ったのはテントウムシ・・・。
え・・・これ、俺?
試しに手を挙げると水滴に映ったテントウムシも手を挙げる。
首があるのか分からないけど、感覚として首を傾げるとテントウムシも同じ方向に傾いた。
・・・俺だ。まじか。
いや、でも、てことは飛べるんだよね?
飛んで出口探せないかな。