カバー絵は赤ずきんさまよりお借りしています✨


妄想、BL(A×N)のお話です。BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。









《side  N》

ドアのすぐそばの椅子によろよろ倒れ込んで呼吸を整える。

間に合って良かった・・・。

呼吸も心臓も落ち着いてきたところで改めて座り直し周りを見てみると、座席にはちらほらとウサギやネコ、イヌ、インコ、カブトムシなど様々な動物が乗っている。
みんな、生まれ変わる人達なんだろうな。

髪の毛を探りテントウムシのまーくんを指に乗せ、そっと隣の座席に降ろした。
もう喋ってもいいのかな?
七瀬さんの声を届けてくれる紙人形がいなくなっちゃったから分かんない。

念のため黙ったままで窓の外をぼーっと眺める。
はじめはただ真っ暗だった窓の外に、ちらほらと小さな光が瞬き始め、そのうちにたくさんの星の中を走っていた。

うわぁ。銀河鉄道だ。
昔に読んで憧れた名作の中のワンシーン。
まさか体験出来るとは思わなかった。

想像していたよりもずっと綺麗で神秘的で、まーくんと感動を共有したくて、隣を見てびっくりした。
いつの間にかまーくんがテントウムシから人に戻ってた。

ほんとに、まーくんだった。
俺、間違ってなかった。
良かった・・・。

いろんな想いが溢れてただ見つめる俺に、いつものように「くふふ」ってひまわりみたいな笑顔を向けてくれる。
思わず抱きつきたくなったけど周りの動物達もみんな人の姿になっていて、さすがにちょっと恥ずかしいからその代わりにぎゅっと手を握った。

そのまま2人で窓の外を眺める。
獅子座のレグルスに乙女座のスピカ、白鳥座のアルビレオを通り蠍座のアンタレスの燃えるような赤に目を奪われる。

春から順に星座を巡っているようで、夏まで来た。
銀白色のミルクを流したような天の川がとても綺麗で、「天の川だよ」ってきゅっきゅっと手を握ると「分かってるよ」というようにまーくんもきゅっきゅっと握り返してくれる。
そして2人で顔を見合わせてふふって笑う。

そんな時間がすごく心地よくて、秋の静かな星空を通過しているうちにだんだん瞼が重くなってきてしまった。

シリウスや北斗七星とか、煌びやかな冬の星空も見たいのに・・・。

久しぶりの全力疾走や、まーくんを連れ戻せた安心感で自分の意思とは裏腹にどうにも目を開けていられなくなって、ついにまーくんにもたれながら寝てしまった。