妄想、BL(A×N)のお話です。BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。










《side  N》

七瀬さんによると、神の国に来るパターンは2通り。

まずは、まーくんのように神に気に入られて勝手に連れてこられた場合。いわゆる神隠し。
この場合は神が連れてくるわけだから、気付いたら神の国にいるらしい。

そして死んだ後に召される場合。
この場合は生前の徳なんかを閻魔様が審議し、神の国に行って良いと判断されれば自分で虹の橋を歩いて渡ってくる。
そして神の国でしばらく過ごし、生まれ変わる時にここを出るそうだ。

神隠しにあった人も神が飽きれば人の国に返される。それがいつかは分からないから、3日後に帰ってきた人もいれば100年後に帰って来た人もいる。
100年後なんて完全に浦島太郎状態だよね。

いずれにしろ、神の国から出る時はみんな駅まで送られてそこから電車で人の国に帰るらしい。
電車は1日1本。

「出発の時間を目指して走りますよ。乗り遅れたら神に捕まってあなたのお友達は連れ戻され、あなたもこの狭間から出られなくなります。
ここが正念場。頑張りましょう」

さらっと言うけど・・・追いかけてくるの神さまでしょ?
逃げ切れるものなの・・・?

「もし追いつかれそうになったら髪の毛を2〜3本投げるんです。
少しの間身代わりとしてごまかせますから」

そう言われて髪の毛を数本抜き、手に握っておく。

やばい。怖くて心臓がドキドキしてきた。
高校の体育以来、全力疾走なんて、いやそもそも走ること自体あんまりしてないから自分がどれだけ走れるのか、どれくらい速く走れるのかも分からない。

「電車の時間まではもう少しあります。私が合図を出したらとにかくまっすぐ一目散に走ってください。
途中で駅の光が見えてくるはずなので、そこを目指して行って電車に乗ってください」

勢いで行けたらまだいいけど、この微妙な待ち時間がとてつもなく嫌だな。

あ。まーくんを安全なところに避難させておこう。
久しぶりの全力疾走。
手に力が入って握り潰しちゃったりしたら大変だ。

どこがいいかしばし考え、髪の毛の間なら落ちにくいよな、と頭にそっと乗せるともぞもぞ潜り込む気配がした。
よし、これで安心。