妄想、BL(A×N)のお話です。BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。











《side  N》

それにしても・・・この中からまーくんを探さないといけないのか。
もし桃の木なんかになってたら、この見渡す限りの桃の木の中から見つけないといけない。
七瀬さんの「心で見る」って言葉を思い出して、試しに目をつぶって心で「まーくん!」と呼びかけてみた。

「まーくん!聞こえたら返事して!まーくん!」

何回か呼んでも応答はない。
やっぱりダメか。

この広大な世界、どっちの方向から探そうか、とぐるっとその場で回ってみた時、胸の辺りがほっこりあったかくなったような気がした。

・・・ん?

それは一瞬のことで、気のせいかと思いながらもう一度ぐるっと回ると・・・確かにある方向を向いた時にあったかくなる。

懐に手を入れてみると、まーくんの手紙がほんのりと熱を帯びていた。
もしかしたらまーくんが場所を教えてくれてるのかも。

まーくん、ありがと。

手紙があったかくなる方向にしばらく歩いていたら、不意に手紙のあったかさが消えた。

・・・この辺ってこと?

ぐるっと見渡すと周りにはたくさんの動物、植物があって、動物達は俺なんていないかのように各々ぼーっと過ごしている。

うーん・・・どれだろ?

触れてみたら分かるかな?と桃の木や草、花に触れていくけどどれもひんやりと心地よく「これがまーくん」て感じはしない。

目はどうだろう?まーくんの面影がないかな?とシカやイヌ、ネコと目を合わせてみてもみんな菩薩のような顔でただ座ったり歩いたりしてるだけ。

ほんとにこの中にまーくんいる・・・?

いや、弱気になっちゃダメだってば。

でも手紙の熱なんて気のせいだったかも・・・。

ダメだ、まーくんを信じろ!

決意と不安が交互に押し寄せて心がざわざわと揺れ動く。

「不安に負けないで。絆を信じてください」

ほんとに分からなくて、もうダメかも、と思い始めた時、七瀬さんの声が頭に響いた。


台風、大雨、皆さま大丈夫でしたか?
被害が出ていないと良いですが(>_<)