一昨日は親愛なるブロガーさま、もえこさまのお誕生日でした🎂🎉
ぜひともお祝いさせていただきたい、とハピバのお話を書いてお送りしたところ、アップしてほしいというありがたいお言葉をいただきました。
子狐ともえちゃんシリーズ第3弾です。
第1弾↓
第2弾↓
もえこさま、改めてお誕生日おめでとうございました💕
いつも素敵なにのちゃん、素敵なお写真をありがとうございます😊
もえこさまの幸せを願って・・・。
⭐︎⭐︎
朝。
もえちゃんは特別な気分で目覚めました。
カーテンを開けるとお日さまも空も風も世界がきらきら輝いています。
今日はもえちゃんの誕生日なんです。
顔を洗って、枕元に用意しておいたお気に入りの黄色いシフォンのワンピースに着替えます。
「おはよう」
「「もえちゃん、おめでとう」」
「ありがとう」
リビングに行ってお父さん、お母さんと朝ごはん。
その後、電車で大きな街に出て美味しいものを食べ、好きなものを買ってもらうのが毎年のもえちゃんのお誕生日の過ごし方です。
出かける時間までまだしばらくあったので、もえちゃんは野原に行ってみることにしました。
シロツメクサでネックレスを作っていると、森の奥から子狐のカズとサトシがやってきました。
「もえちゃん、おはよう。何してるの?」
「今日はね、私の誕生日だからおめかしするのにネックレス作ってるのよ」
「え!今日誕生日なの?!」
「お祝いしなきゃ」
2匹はこしょこしょ相談し、一旦森に入ると黄色いエニシダの花を取ってきてくれました。
「はい、おめでとう」
髪の毛にピンで留めるとティアラのようで黄色いワンピースにもぴったり。
まるでエニシダのお姫さまのようです。
「ありがとう」
「あとね、今夜9時、こっそりお家を抜け出してここに来てね」
2匹はそう言うと「準備しなきゃ!」とまた森へ帰っていきました。
お花だけでなくさらにお祝いしてもらえるのでしょうか。
もえちゃんは夜を心待ちにしながら、お昼とお買い物を楽しみました。
夜、いつもより少し早めにおやすみの挨拶をして部屋に入ったもえちゃんは、リビングの気配を伺いながらそっと窓から庭に降り、急いで森の入り口へと向かうと、そこにはサトシとカズだけでなく、ショウにマサキ、ジュンまで勢揃いしてもえちゃんを待っていてくれました。
「「「「「もえちゃん、おめでとう!」」」」」
5匹は声を揃えてもえちゃんを祝福し、「はい」とカズから提灯のようなものを渡されました。
よく見るとそれはホタルブクロで、中にはホタルが入っています。
「ついてきて」と5匹に言われ、その黄色い灯りを頼りに森の奥へ進んでいきます。
急に開けた場所に出て、「着いた!」というマサキの声に顔をあげると、いつの間にかもえちゃんは子狐達と同じ大きさになっていました。
子狐達は人間のように後ろ足で立っていて、ジュンはバスケットを持っています。
「それ、なぁに?」
「これは桑の実のケーキ。白鳥さんと鷲さんにあげるんだけど、もえちゃんも食べる?」
「いいの?」
一口サイズのケーキはほんわり甘く、優しい味がしました。
「白鳥さん!鷲さん!僕たちを月に連れていってくださーい」
桑の実ケーキを味わっていると、マサキがホタルブクロを頭の上に掲げながら空に呼びかけました。
もえちゃんも空を見上げると、白鳥座と鷲座が羽ばたいたように見え・・・まさか、と目をこすった次の瞬間には目の前に大きな白鳥と鷲が現れていました。
「さ、乗って」
ショウに促され、カズとサトシと共に翼から白鳥の背中に登りました。
ふわふわの羽はあったかくてとても良い座り心地です。
ショウ、マサキ、ジュンは鷲の背中に乗り、「お願いしまーす」の声と共にふわっと舞い上がり、夜空に向かってぐんぐん進んでいきます。
遠くに見えていた月がどんどんどんどん大きくなって、やがて月の表面に着地しました。
テレビで見たことのある月の表面はクレーターばかりで何もなかったのに、降り立ったそこには遊園地のように観覧車やメリーゴーランド、ジェットコースター、大きなブランコなどがありました。
「わぁ!すごい!」
「今日はもえちゃんの誕生日だから、どれでも乗り放題だよ」
運んでもらったお礼に桑の実ケーキを白鳥さんと鷲さんへ渡したジュンが楽しそうに遊具へと走っていき、それに続いてもえちゃんと4匹もそれぞれ好きな遊具に乗り込みました。
操作する人は見当たらないのに、もえちゃんがメリーゴーランドの白馬に跨るとゆっくり回り始めます。
みんなで観覧車に乗ったり、ゴーカートで競走したり、大きなブランコを漕いだり。
月では体が軽くなるのでただジャンプするだけでもいつもより高く跳べて楽しめます。
しばらく遊んで喉が渇くとサトシがコップを手渡してくれて、天の川から川の水を汲んで喉を潤しました。
乳白色のオパールみたいな水はすっきりとして後味にほのかに練乳のような甘味が感じられ、すぐに喉の渇きが癒えます。
しばらく時を忘れて走り回り、まだまだ遊びたいけれどもうくったりです。
「そろそろ帰ろうか」
ショウが再び白鳥さんと鷲さんを呼んでくれて、その背中に揺られるうちにどうにも上の瞼と下の瞼がくっついてきて・・・。
気がつくとお家のベッドで目が覚めました。
カーテンの外からは明るい日差し。
「あれ?私、白鳥さんに乗ってたのに・・・」
もしかして夢だったのでしょうか。
なんとも楽しい夢だった、と着替えようとして起き上がると掛け布団の上から何か床に落ちました。
なんだろう、と見るとホタルブクロです。
「みんなが運んでくれたのかしら」
素敵なプレゼントのお礼を言いにいかなくちゃ、ともえちゃんはふふっと微笑みました。
Fin.