妄想、BLのお話です。BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。
この回はS×N、後ろの方はJ×Nのさわりとなります。








《side  S》

「・・・え?」

きょとんと見上げられ、はっと我に返った。

「な・・・何でもないです!
あの、従兄弟がそういうの見える系で!ここに桜の精がいるって言ってたので・・・
そんなわけないですよね!ははっ」

俺にはそういうのは見えないから、絶対目の前の子は人間なわけで。
桜の精か、なんて突然聞いたらそれこそ不思議ちゃんだと思われる。
慌てて取り繕う俺に、その子は顔を綻ばせて

「そうなんですか?僕も見てみたいなぁ」

って言ってくれた。
その笑顔がまた桜の花みたいで、もしかしたら急に俺も見えるようになったのかもしれない、なんてちょっと思った。

すっかり彼、ニノに魂を持って行かれた俺は「お詫びにお茶でも」って喫茶店に誘い、連絡先を交換。
押したり引いたりの駆け引きなんてどうしていいか分からないからとにかく押して押してぐいぐい距離を詰め、紅葉が終わる頃には見事ニノの恋人の地位を確保した。

付き合ってみたら当たり前だけどニノは普通の人間で、働いてるし友達もいるしご飯も食べるし体温は心地いい。
それなのにベッドの中ではいつものあどけなさが嘘のように妖艶で、「もしかしたら桜の精が人間に化けてるのかも」って今でも時々思う。

まぁ俺はニノだったら人間だろうがそうじゃなかろうがどっちでも構わない。
その可愛さに俺の好きは毎日更新されてて離れるなんて出来ないんだから。

満開の桜も綺麗だろうけど、やっぱりニノとは紅葉を見たい。来年の紅葉は2人で手を繋いで見に行こう。


《side  J》

今年もまた、雪で白く染められた桜をカズと2人身を寄せ合いながら眺める。

俺は鬼だから寒さなんか全然感じないけどカズは震えながらじっと耐えてるから、少しでも温もりを分けられるようにぎゅっとカズを抱きしめる。
この季節はこうしてずっとカズを腕の中に閉じ込めておけるから好きだ。
もちろん他の季節もカズを離しはしないけれど。

智、いいところ見つけたな。

この川べりのどこかにいるだろう智に心の中で感謝した。


明日、最終話です☺️

アメンバー申請、お一人承認できておりません💦メッセージもお送りしていますが、どれか1つのお話で構いませんので感想を送っていただきたく、お心当たりの方よろしくお願いいたしますm(_ _)m