妄想、BL(O×N)のお話です。BLの意味が分かる方、妄想とご理解いただける方のみお進みください。
《side N》
僕がテンション低いの分かっただろうに、智ってば追いかけてもこないし・・・。
先に帰ったら帰ったで、まだ戻ってこない智にもやもやする。
僕の父もいたし、気を遣って一緒にいるのは分かってる。
分かってるけど・・・。
はぁ・・・なんで僕、こんな子供っぽいんだろ。
なんかやたら凹んできて頭から掛け布団を被り、体を丸める。
しばらく経って静かにドアが開き、智が帰ってきた。
「和也・・・?」
ベッドに座って覗き込む気配に必死に寝てるふりをする。
たぶん話したかったんだろうけど僕が寝てると思ったからか、ため息をついてシャワーをし、やがて隣のベッドから寝息が聞こえてきた。
ごめん。今はあんまり話す気分じゃないんだ。
翌日も僕はもやもやを引きずっていて智にいつも通り振る舞うことが出来ず、そんな僕に智もどう声をかけていいか分からないみたいでなんだかギクシャクしたまま観光にでた。
タマン・ウジュン宮殿。
水の宮殿と呼ばれていて、湖に浮かぶように建てられている宮殿と、そこから見る景色がとても美しい。
智と並んで見たいのに・・・
そっとしといた方がいいと思われたのか、智は僕の姉ちゃんや母さんと遠くで話してる。
変に意地張らずに昨日の夜仲直りっていうか、別に喧嘩してないけど、話しとけば良かったな。
少し後悔しながらぼーっと綺麗な景色を眺めていると隣に人の気配を感じ、もしかして智?と思って見たら智のお父さんだった。
「綺麗な景色だね」
「そうですね・・・」
そう言ったきり黙り込んで2人静かに景色を眺める。
智より寡黙で、みんなで喋っている時も聞き役に徹してることが多く、2人になる機会もそうそうなかった。
そのせいであまり話したことがなく、表情も大きくは動かないから正直僕と智のことをどう思っているのか分からない。
もしかしたらやっぱり智には女の人と結婚して普通の生活をしてほしいと思ったりしてるんだろうか、とか考えたこともある。