みなさまこんにちは、はなおか培養室です
透明帯の役割と多精子受精との関係をお話しましたので、今日はまた透明帯に関連して、アシステッドハッチングのお話を致します。
アシステッドハッチング(Assisted Hatching/以下AHA)とは、日本語では孵化補助法なんて呼ばれておりまして、胚移植の際にたまごのまわりの透明帯を一部もしくは全部除去、あるいは一部もしくは全部を薄くする操作のことを指します。
(↑当院は図のように一部の除去もしくは菲薄化です)
なぜそんなことが必要なのかといいますと、たまごちゃんたちは分割期から拡張胚盤胞にかけて透明帯に包まれている状態ですが、胚盤胞がさらに拡張を続けると透明帯は薄く引き伸ばされ、やがてその一部をやぶってたまごの中身だけが子宮に着床します。
これをハッチング(孵化)と呼び、たまごちゃんはうまくハッチングできないと着床することができないわけです。
なので、孵化障害が疑われるもしくは見込まれる症例においては、このAHAを行うことが一般的となっており、当院でも凍結融解胚盤胞移植の際にはほぼ全例に施術しております。
孵化障害が疑われるもしくは見込まれる症例とは、以下が挙げられます。
①凍結融解胚移植
⇒凍結保存によって透明帯が硬化するといわれており、AHAを行った症例では妊娠率が高くなったとする報告があります。
②良好胚での反復不成功
⇒グレードの高い胚を繰り返し移植しても妊娠に到らない症例では、透明帯を脱出できていない可能性があるのではないかと言われています。
③高齢
⇒高齢患者の透明帯は硬化している可能性があります。
これだけ理由はあっても、AHAの有効性はいまだ議論されており、必要ないというドクターもいれば、初期胚でも胚盤胞でも移植に際しては必ずAHAを行うドクターもいます。
当院では、
①初期胚でのAHAはあまり意味がないらしい
⇒初期胚ではAHA実施の有無によって妊娠率に有意差は認められないとするデータがあります。
②AHA施行時のダメージのリスクが大きい
⇒胚盤胞(細胞数数百)と比べ細胞数が少ない初期胚(6-8細胞)において、AHA施行時に万一一部の割球を損傷した際のダメージの割合が大きくなってしまう。
③割球がバラバラになる可能性
⇒初期胚ではまだ割球間の結びつきが弱く、包んでくれている透明帯がなくなることで細胞がバラバラになってしまうかも......
といったことを考慮し、凍結融解胚移植で胚盤胞の場合にのみAHAを行っています。
AHAには実は色んなやりかたがあるのですが、長くなってしまいましたのでまた今度
培養室
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