ルルドへ行った。パリからフランス国内小型旅客機に乗って一時間半。ルルドは霧に浮かぶ温泉街。どこかで見た事がある風景。町全体から湯気が出ている。そうだ、小学校の校庭。遊び場、遊具の近くの大きな蝦蟇蛙を理科の実験で飼っていた小さな水溜り、池と言うには烏滸がましい、水溜り、青翠の沼。その隣の水道場。10台位の鋼色の水飲み場がズラッと並んでいた。体育の時間の終わる頃、また雨の中遊技場で遊んで泥だらけのときソックスを洗った、水道場と似ている。大きな体育館は、ルルドでは祈祷所、礼拝堂になっている。マリアが降臨しベルナデッタという少女、他2人に病気平癒の奇跡の泉を教えたというカトリックの大聖地。ベルナデッタはその後修道女になり亡骸は、腐食せず、若いまま木乃伊のように永遠に、眠っているという。聖ベルナデッタ教会、ベネディクト修道会。奇跡の修道女ベルナデッタ、そしてマリアが三度に渡り降臨し未来の人類への啓示を与えたという奇跡の聖地ルルド、それは朝焼けの朝霧の中に忽然と現れポー川の石灰石の潮風に晒された海の側の港町。お店が沢山並び立ち、マリア関係の水、聖杯で溢れている。マリアが降臨し少女達に人類のメッセージを伝えたという大聖地は今は大きな立派な教会が建ち、学校の水飲み場のような校庭では広場のように蛇口が並んでいる。蛇口は銀色で、日本の水道水のように捻れば白い聖水が出てくる。無料で。聖水は無料。またマリア関連のコインもガチャポンのように売られている。一個100円位。他の天使も。


朝靄の中、人影は殆ど無いが、聖地だけに病気の人が多く、手や足をカタカタさせながら思い思いのポットや容器を持って水を入れに歩いてくる。戦争で手や足が無い人、破れた軍服を、破れたまま着て、身体を引き摺っている。ボロボロの手足を破れた衣服に厄介そうに突っ込んでやっとの思いで蛇口を捻っている。だが顔は皆、明るく、晴れやかだ。フランス政府は、軍人さんと高齢者にルルド滞在券をタダで配っている。フランス政府の人気政策だろう。手が無い人が、ハローと手を振る。

フランスのルルドの蛇口は香ばしく水が湯気を出して溢れている。早朝の水は美味しい。旅の疲れと早朝の退役軍人さんを見た驚きで、驚嘆と清々しさが、ルルドの朝靄を満たしていく。私も持参したペットボトルに聖水を入れ奇跡の水を飲んだ。世界の大聖地なので、マリア降臨のお祭りの日には何百万人、600万という世界各地から人々が集まり、町は賑わうという。またお祭りの日にはマリア像や500聖徒使徒の像の行列が小さな町ルルドを練り歩き、ルルドを聖地歓楽街に変える。私もルルド到着時、飛行場からルルドのホテルまでF1サーキットに出てくるお兄さんにタクシーで送って貰った。50分位。居心地は暗闇なのに良かった。暗闇のF1サーキット。滑らかに、すべらかにタクシーはルルドの星空を走る。タクシーはハレー彗星、流れ星のようにルルドへ。First ルルドは、大宇宙の星々銀河のように暗闇の家の灯が流れ消え、1つの感動だった。聖地の中の1つの民泊。カトリックの巡礼者用のホテルに滞在した。簡素で質素それでいて清潔な、シスター用の部屋だった。部屋の一角に十字架が掲げられており、カトリックの聖地へ来たのだなと独り感嘆した。窓からはルルドの町の灯が流れ消え、聖地は美しい。翌日、私も宿の近くのマリア像で溢れている店の1つに、飛び込み1つ百円位の22センチ位のマリアが描かれているポットを沢山買い込んだ。そしてルルドの水が出たという先程の体育館へ行き、蛇口を捻り、ルルドの聖水をポットに溢れる程沢山入れた。溢れる程。水はタダ。そしてお土産に家まで持ち帰った。帰宅後友達や親戚に奇跡の水をバラ撒いたが今の所、奇跡の報告は無い。