去年11月 城崎に行った

特急で姫路から北上

それまで晴れていた車窓は

城崎に近づくにつれ

雲が増え 雨模様に変わる

 

雨の中 しっとりと散策

それもまた よし

 

 

 

温泉「柳湯」は

余計な演出のないシンプルな造り

最初は熱いお湯に戸惑いつつ

慣れてくると じわり

体が温まる

 

今回の旅で一番印象に残ったのが

「城崎麦わら細工」。

 

 

最初、詳しくは何も知らなかった

事前に城崎の観光情報をざっくりチェックしていたとき

こういうものが城崎にはある ということは

脳裡になんとなく、インプットされていた

 

実際に城崎を訪れ、メインストリートを歩いていると

「麦わら細工」と大きく書かれた看板が目に入る

情報としてなんとなくインプットされていたものが

今、目の前にある 知識と実際の遭遇

ただ、そのときは中に入ることはせず

通り過ぎるにとどまった

 

その後

「城崎文芸館」を訪れると

志賀直哉はじめ 城崎にゆかりのある人物の展示

それとは別に 企画展で

前野治郎さんという方の城崎麦わら細工展

をやっているではないか

 

まったくのノープランで城崎を歩いていた中で

2度目の 知識と実際の遭遇

―― つながった ――

ピタリとはまるこの感覚 旅をしていると

ときどきこういうことが起こる 

 

この企画展で 

城崎麦わら細工にじっくりと触れる

パンフレットによると

『1720年頃、因州(現在の鳥取県)半七という旅人が

城崎に滞在した際に、旅費の一部を賄おうと、当時の麦わらを利用した細工を作成・販売したことが、麦わら細工の起源』とある

 

前野治郎さんはこの伝統工芸の伝承に尽力された方

作品の素朴さ、細やかさ、色使い・・・

完全に、魅了された

 

前野さんは令和4年に亡くなられ

継がれている方いるのか分からないが

散策中に「かみや民藝店」というお店を発見

神谷さんという方も、継承活動をされているようだ

旅行で城崎を訪れた際

偶然麦わら細工を知り、ほれ込み、自分も制作したいと

城崎に移住し、神谷さんに師事している大阪出身の若い方も

いらっしゃる

神谷さんのチームには、継承への積極性が

特に感じられ、名古屋へ行った際にも高島屋で

展示イベントが開催されていた

 

この「城崎麦わら細工」を知ったことが

城崎へ来た大きな収穫である

大々的には宣伝されていないが

兵庫県伝統工芸品にも指定され

地味だけど歴史あり味わい深い手作業の作品

これからも引き継がれてほしい