10年ぶり北海道旅 2日目】

長い間宿泊の旅に出ていなかったので

出発のどれくらい前に 目覚ましをかければいいか

忘れてしまった 大体こんなもんかな・・

結構ギリギリであった 

ホテルの朝食バイキングをいただきに行く

 

 

北海道の牛乳はもちろん、

ジンギスカンもあるし、松前漬けもある

デザートの杏仁豆腐とハスカップゼリーが

めっちゃおいしかった!

ガソリン満タン

 

 

ホテルを出発

本日の目的地――

それは 宗谷岬である

 

久しぶりの北海道

まずはガツンと、最北端をおさえたい

いつもテレビの天気予報の画面で見る、

あの日本列島の、最北端

 

前日 札幌から旭川へ着いた際

みどりの窓口で 

旭川 ⇔ 稚内 の特急往復Sきっぷを購入しておいた

正規往復価格が16,720円に対し

Sきっぷなら10,830円

Sきっぷにしない手はない

 

9:00旭川発 特急宗谷

――この響きだけで 心が躍る

 

 

ホームから大雪山系が見えた

ロープウェイで姿見駅へ行き 散策をしたかった

今回は 時間不足で断念

 

12:42稚内着まで 宗谷本線の車窓は 

北海道らしい自然地帯がつづく

 

この路線は23年前、稚内駅から乗車したことがある

稚内泊、礼文島日帰り、豊富駅で途中下車、

サロベツ原生花園へのサイクリング

このときも 車窓の景色を楽しみにしていたが

爆睡してしまい 目が覚めたときには

ほぼ旭川に着いていた というまぬけな結末

今回は寝ない。硬く肝に銘じる

 

旭川を出てほどなくして 車窓が変わる

原野、天塩川、原野、原野、天塩川

人工物の少ない、本来の自然地帯 

この路線に乗車できるだけでも

旅の意義を感じる

地元にも自然地帯はあるけれど

うまく言えないが 何かが違う 

ぜいたくな話である

 

 

稚内駅着

ここも駅舎が変わった

仕方ないけど、前の駅舎が懐かしい

向こうの方にANAのホテルが このホテルは変わらない

23年前は港から礼文島へ行った 

よくまぁ 一人で行ったもんだ

 

 

 

駅前から 宗谷バス に乗り 宗谷岬へ

当初、往復バス利用の場合

宗谷岬での滞在時間が45分しかないと知り

宗谷岬再訪はあきらめていた

 

ところが!

 

北海道へ出発する直前

バスのHPをチェックしていると

6月1日から「日本のてっぺんでアクティブバス」なるものが

路線バスとは別に運行開始 というではないか!

そして、行きは通常運行の路線バス

帰りはこのアクティブバスを利用すると

岬での滞在時間を2時間とれることが判明!

なんでもやっぱり「元」のサイトに

しかも直前にあたるものだ 

改めて学習した

 

海岸線を進み 宗谷岬へ到着

23年ぶりだ 感無量  ――と思いきや

バスを降りた途端、強風にあおられる

じっと立っていられないほどである

 

(昔、稚内駅周辺からレンタサイクルで岬へ行きたいと

思ったことがあったが、来てみて分かる 絶対、無理!)

 

身の危険を少々感じ まず建物の中に入りたくなる

これくらいで こんなに恐れるなんて

関西人のひ弱さよ

(私だけかもしれません)

 

そこで入ったのが「食堂最北端」 なんともいいネーミング!

風からの避難もあるが

もちろんお昼ご飯が第一の目的

もずくラーメンが名物のようだが

ホタテラーメンに惹かれた

もずくは沖縄と思っていたが、この辺りでも採れると知った

 

「今はシーズン前でメニューがまだ少ないです これからいろいろ出てきます

また来てください」

 

とお店の方

 

「遠いので次いつ来られるか・・」

「大丈夫、お若いから」

 

・・・そんなに若くないんです

 

人生が有限であることを 

以前より濃く意識するようになった最近

この次、一体いったいいつ、来るだろう

いや、果たして次があるのか

なんてことを思う

こんな気持ち 23年前には想像してもいなかった 

こんな風に思うのは まだ早い! 

最低あと一回は、必ず来るぞ!

強く思った

 

 

さあ、強風の中、出陣

これから、あのシンボル的碑の立つ先端に行く

ちょっぴり覚悟がいる

関西人のひ弱さよ

 

目の前に広がる海

天候は曇り 樺太は見えない

 

 

 

 

来た。23年前は ここから自宅に電話をした

23年前の自分、今の自分。

何か変わっただろうか

文字を読むとき、離して読むようになったとか

身体的ネガティブ変化は 多少あるけれど

人間性の面では

多少なりともいい意味で変わっていなければ

あかんやんか

歳を重ねたが、自分という人間の「タチ」は

変わっていない気がする。よくもあれ、わるくもあれ。

 

ただ、何度も言うが

自分が年を取っていくということ

人生の半分以上が過ぎたということ

に目が行くようになった今、ここ同じ宗谷岬で

そんなことをこっぱみじんも思っていなかった

23年前の自分を 懐かしく思い、初々しく思う

ここが 大きく違う

振り返っても仕方ないけど

人生を振り返ることが少し、今、多い

 

本当は この碑の前で長時間佇み

大海原を前に いろんなことを思いながら

過ごしたかったのだが

強風につき やむなく断念

そんな中でも、観光客の方々は

私のほかにも ちらほらいらっしゃる

みんな、車で来られているみたい

 

海を背に 山の方へ進んでいく

ゲストハウスアルメリアに 展望台が併設 

そこまで行きたい

 

途中 旧海軍望楼がある

上ろうとした矢先、なんと、雨が降ってきた

おかしいなぁ・・ホテルのテレビで見ていた天気予報

宗谷地方の雨は18時頃からだったのに

予報はあくまで予報 

 

関西では年に1、2度吹くか吹かないかの

台風直撃時のような強風の上に、雨

当然、雨は横殴り、傘など役に立ちませぬ

 

再び身の危険を感じ

望楼の上に行くことは控える

 

身の危険を感じ 

望楼は下から見上げるだけに留めたというのに

展望台へ行くことは諦めない 

やめることと諦めないこと 混在中

私、何やってるんやろ ちょっと頭を霞める

 

 

それでもいい 

なんせ ここは 日本列島最北端の宗谷岬

ずっと来たいと思っていた宗谷岬に今、いるという事実

これを満喫しないわけにはいかない

次いつ来るか分からない 引き返せば後悔する

強風かつ逆風の中、少し先の展望台をめざす

再び言う。私、何やってるんやろ

それでもいい。こんな冒険が、人生を豊かにしてくれるのだ

 

展望台前に到着

とにかく、中に入りたい

しかし、1階ゲストハウスの扉は開かない

ゲストハウスが閉鎖中とは 事前調査で知っていたが

中から上に行けると思っていた

では、2階の展望台へはどうやって?

横に回り込む よう分からん

よう分からん でよしとすることに決めた

もたもたと上り口を探すことは、諦めた 

それだけの強風と雨だった ということだ

まあ、ここまで来たのだ 後悔はない

多分あの階段かな・・という場所は目に入ったのだが

これ以上進むことは、やめた

それだけの強風と雨だった ということだ

 

さて

今来た道を、再び戻る

一体何をしにここまで上ってきたのか・・・

まあ、これも、旅なのである

 

食堂最北端やバス停、岬の碑があるエリアまで

下りてきた

とにかく、建物の中に入りたい

「BASE SOYA」というレンタサイクルステーションがある

23年前来たときは、ここの2階で食事をいただいた

今はもう、やっていない

BASE SOYAもシーズン前でまだ営業されていない

でも、ドアが開いた

中に入る手前 なんて言うんだっけ 防風なんとか?

のスペースで 稚内駅行バスが来るまで待たせてもらおう

 

まだ1時間以上ある

 

碑でも展望台でも 佇んでいる場合ではなかったから

時間がかなり余ってしまった 

もったいないけど、仕方がない

しかし、この風除室にずっといるのも

退屈極まりない

かと言って、ほかに行くところはない

先ほどの食堂最北端に行けば

少しの間避難させていただけたかもしれないが

その図々しさは何となく気が引けた

 

と、そのときふと思いついた

 

確か、帰りのバスは

もっと早い時間帯にも 1本あったはず・・

プリントアウトしてきた時刻表を確認する

スマホは持っていない

 

あっ!あと2分で発車するではないか!

バス停の方に目をやると

そのバス すでに停車中!

風除室からバス停まで、少し距離がある

待って! 急いで風除室を出、

バス停へと走りかけたそのとき・・

 

バスは行ってしまった

 

バスの時刻がほかにもあったことに

気付くのが遅かった

こういう機転、旅ではめちゃくちゃ大事やのに

頭の硬さを痛感

 

っま、行ってしまったもんはしゃーない。

 

 

近くのお店の中を一周し

買いたいものが見当たらないので

長居はしづらく 短時間でお店を後にし

公共のお手洗いへゆっくりめに行ったり

なんやかんやで時を過ごし 

漸く次のバスの姿が見えた時の 安堵感たるや

(後から調べると、食堂最北端の横辺りに「バス待合所」 とグーグルマップにある。完敗。)

 

さあ

稚内駅に戻ろう

 

なんだかすったもんだの宗谷岬だった

北海道最北端の洗礼を受けた

でも、めっちゃいい経験・思い出になった

 

バスの乗客は私一人。

運転手さんの説明を、一人で贅沢に聴く

 

宗谷丘陵は 氷河期に大地が凍結したり溶けたりを繰り返してできた地形

今もその形が残っている ゆるやかな起伏

岬からの海もいいが この丘陵に悠久の時間を思うのもいい

 

 

バスを降り 写真撮影の時間を作ってくださった

路線バスとは違い、アクティブバスという観光バスだからだろう

風力発電の風車も たくさん見える

すべてを稼働させれば 〇万世帯?(数字は忘れてしまったが、かなりの世帯数)

の電力をまかなえるらしい 

ただし、稼働させるには 290億円?(違っていたらごめんなさい) かかるとか

環境にやさしいものにお金がかかる― なんとも哀しい話である

 

バスは 宗谷丘陵の中をゆっくり進む

何かが動いた

エゾシカだ 2頭いる 

私の方を見た後、振り向いて去っていった

おしりの白い毛が、人間の勝手な発想からすると、愛らしい

 

稚内駅に戻ってきた

運転手さんが 

おいしくてお安い地元の食事処を 紹介してくださったが

列車の時間が迫っている

「よしおか」というお店

次、来た時には、行かせてもらおう

 

あっという間の宗谷岬だったが

関西では経験できない 気候風土の厳しさを

垣間見ることとなった

そう言えば 岬へ向かう際に乗った路線バスは

当然のごとく 地元の方が利用されており

ご高齢の方が ほっかむりをかぶって 乗って来られていた

今なら分かる。あれは、風よけだったんだ

ショッピングカートを持って乗車していた別の女性は

ウィンドブレーカーのフードで頭をすっぽり覆い、首元でキュッとしばり

降車後、さっそうと歩いて行かれた 

これくらいの強風 日常茶飯事なのだ

時々テレビで見る稚内の冬はもっとすさまじい

猛烈な吹雪、風、何も見えない

 

食堂最北端の方やバスの運転手さんに

この土地での冬の暮らしを お聴きしたかったが

関西人のひ弱さが露呈されるだけだと思ったし

所詮興味本位なので失礼かとも思い

結局質問できなかった

ストレートに聞いてみたらいいものを

こんな風に躊躇してしまうのも、歳を取ったからだろう

ちなみに 運転手さんに

強風の中を歩いたときは 身の危険を少し感じた と言うと

「ははッ」と一蹴されてしまった

 

17:44 稚内発 特急宗谷

宗谷本線で旭川に戻る

 

オレンジの夕空から やがて訪れるは漆黒の闇

窓に顔をくっつけ 目をこらせば

原野の草木の黒い影が 

列車の通る風になびき 揺れているのが見える

朝は緑鮮やかに茂っていた草木たちの 

今度は漆黒色の影

私はここに、「真実」を見る

人工的なものが一切ない 自然そのものの姿、色

人工物である列車に乗り、こんなことを思っている

 

21:26 旭川着

ほかの乗客の皆さんが なかなか降りないので

のんびりしていたら 札幌行の列車だった

あわてて降りる

 

行ってきたぞ宗谷岬。

北海道の最北端、つまりは日本の最北端に

行ってきたのだ。

大きな充足感に包まれた