とある場所へ行きたいと

グーグルマップで調べていると

1軒のお店に 目がとまった

 

お豆腐屋さん だ

 

行った人の感想によると

昔ながらの素朴なお豆腐屋さん

我が家でお豆腐はよくいただく

行ってみたくなった

 

狭い道をくねくね おっと一方通行だ バックせねば

とかなんとか いろいろ間違いながら

やっと見つけた そのお店は

 

近隣の方に道を尋ねる際

そう言った方が分かりやすいと思い 名を出した

隣の大きな建物より

直接店名を告げた方が 「あ~ それなら この 裏」

と  断然分かってもらいやすかった

地元密着のお豆腐屋さんだった

 

創業からなかなかの年数で

まさに昭和のたたずまい

下町の気取りない住宅街に 突然 現れる

 

お豆腐屋さんの朝はきっと早い

私が訪れた時間帯

本日の製造を終えた店内は 

すでに真っ暗で

目をこらすと 店主さんが

一番奥でくつろがれていた

 

こんにちは

いらっしゃい

 

ケースに入ったお豆腐は

ほとんど もう ない

ひろうずも 厚揚げも 何もかも 売り切れ

あー 残念

 

午前中に電話もらっといたら

おいとけます

とのことだった

 

残っている中で

冷奴に合うと勧められた

お豆腐を購入

 

早速その夜 いただいた

 

 

 

 

 

大豆の味がしっかりする

濃い

一緒に入っていたお汁の白色も 濃い

おしょうゆもいいが

塩を一振りしてみたら なおいけた

 

いやぁ 

スーパーでお豆腐が

買えなくなるではないか

 

 

お店のおじさんと話をした

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

「30年前に比べたら

スーパーにおされ 豆腐屋の軒数は

10分の1になってしまいました

昔は冷蔵庫もなく、どの家庭も朝ごはんには

みそ汁を飲んでいたから

朝の5時から売りに出て

売れ残ることなく 商売できてました

今では考えられんです」

 

「私も小さいころ 家の近くに車でお豆腐屋さんがくると

チリンチリン と鈴を鳴らす音で

母に頼まれ 洗面器を持って外へ出てたの

よく覚えています」

 

「あ~ そんなん言うたら

お歳がばれてしまいますやん」

 

「ははは、 いいんです」

 

「久しぶりに昔のこんな話できて

うれしいですは」

 

「こちらもです」

・・・・・・・・・・・・・・・

 

こんな話を

する年齢になった ということだ

諸行無常

 

 

スマホに夢中のあまり

自分が踏切の中に入ったことに気が付かず

電車にはねられ死亡

遮断機の外にいた10名ほどの人も

やはりスマホにくぎ付けで

誰一人その人の状況に気付かず

 

そんな今の時代

 

あそこに

あのお豆腐屋さんがある

 

それだけで

 

なんか不思議

 

ホッとする

心の拠り所ができた

また行こう