13:07発車の列車ですったもんだの江差に別れを告げ、 車内でホッと一息。




13:38湯ノ岱(ゆのたい)駅で下りてみる。




私以外は誰も下りない。 




ホームでは、 運転士さんと駅員さんとの間でタブレット(通票)交換が行われていた。 










そして。




列車は行ってしまった。




 





ワンコイン とげなしバラ子のお部屋で気軽に花ライフ-20131125






駅員さんは駅舎に戻り、 ホームには私一人だけ。




虫の声と草の香り。 ただそれだけ。 でも周りに民家はあるし、 有人駅でもあるので なんだかとても温かい気持ち。 










駅舎の中に入ってみる。









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こぢんまりした待合室。 この静けさ、 だけど迎え入れてくれるあたたかな空気感。 もう、 それだけで何もいらない。 キミはそのままでいいんだよ、 休んでおゆき。 とでも言ってくれているような。 




手編みだろうか。 クッションのデザインがまた素敵。 グリーンのベンチとよくマッチしているね。









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江差では想定外に時間に追われ(って自分でそうしたわけだが)、 列車の時刻に間に合わせようと早歩き。 その時の疲れがまだ残っている。 次の行動を考える前に、 ここで少し休ませてもらう。 このかわいいクッションの敷かれた椅子に座り、 壁にもたれ、 しばしうたた寝。 大丈夫。 隣には駅員さんのいる事務室がある。 安心して力抜けるよ。






20分くらい経った頃。 おっと眠ってしまった・・ ふと目が覚める。 






駅員さんが事務室から出てきた。 この子、 どうするつもりだろう と思ったのかも。 






「温泉でも入ってくれば?」




「どうやって行くんですか?」




「あそこをまっすぐ行くといいんだよ」




「ここをこうですか?」




「いや、 駅の反対側から出て右に歩いて行くのさ」




「次の列車は・・16:47ですね」




「そう。 だから余裕で戻って来られるよ」




「因みに隣の神明(しんめい)駅には歩いて行く人もいるみたいですね。 どれくらいかかりますか」




「神明から来た人によると、 写真を撮りながらで1時間て言ってたな。 だから、 普通に歩いて30分くらいでないかい?」




「わかりました。 行ってきます」








駅員さんとこんなやりとりを交わし、 言われたとおりホームとは反対側の出口から出て右折、 温泉へと向かう。




温泉、 旅に出る前に行った人のブログを読んできたが、 こう言っては何ですが、 なんだか茶色くてグロテスクな感じの温泉なのだ。 だから、 行こうかどうしようか迷っていた。 でも、 地元の人に勧められたら、 やっぱり行こう!って思ってしまう。 そのときどきの直感ですんなりと決断できることが、 ある。






それにしてもこの駅員さん、 一日一人でずっとここにいるってことよね。 仕事とはいえ、 どんな感じなんだろう・・ 温泉からまたこの駅に戻ってきたら、 もう少し、 お話してみたいな。 でも直接神明駅に歩くとしたら、 さっきの会話でお別れってことだ。 ただいま! と言って戻っても来たいし、 この自然地帯の駅と駅の間を自分の足で歩くこともしたい。 この2択、 どうするか。 温泉から出たら、 考えよう。











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ホームと反対側の出口から見た駅舎。 来年5月には江差線が廃線。 この駅も、 なくなっちゃうんですね。






では、 いざ、 湯ノ岱温泉 (湯ノ岱温泉郷 国民温泉保養センター
) へ。








今回の旅は、 温泉へ行くことが多い。 学習したのは、 湯上りに摂る水分の大切さ。 ペットボトルをゴクゴク、 体が欲するのだ。 




持ち合わせのペットボトルの中身が残り少ないため、 駅前の酒屋さんでお水を買う。




旅では、 できるだけ積極的に地元の人とお話したいと思っている。 マイペースな人間ですので、 その”モード”になっていることが前提なのですが。 でないと相手に対しても失礼ですし。




レジのおばさんにお金を払った後、 袋に入れてもらったペットボトルを受け取り、 はいどうも とそのまま店を出ることもできる。 でも、 時間もあるし話しかけさせてもらった。 特に知りたかったのは、 関西人が知らない冬の厳しさだ。






「この辺は雪がよく降りますか」




「降りますよ。 この前の道も、 雪かきして、 終わったと思って後ろ振り返ったらもう積もり始めてる。 そんな繰り返しです。 みんな、 雪がなかったらいいとこなのにねって言ってますよ。」




「買い物はどうされてるんですか」




「大体江差か木古内に行きますね。 冬は雪かきが追いつかないと列車もすぐ運休になるから、 車で行きます。 吹雪になると道が見えなくて、 前の車のランプだけが頼りでね。 自分の車が先頭だと責任重大ですよ。」




「江差線がもうすぐ廃線なんですよね」




「そう。 この辺は代わりにバスが走るんだけど、 この先の道は対向車とすれ違えないくらい狭いから、 いま広げる工事をしてるんです」






若い人を見かけないけどみんなもっと都会に行っているのかとか、 ここに住んでいる人の仕事は農業中心なのか、 など他にも聞きたいことはあったが、 このへんでお店を後にした。






駅を出て右に、 酒屋さんや郵便局の前を通り過ぎると、 こんな標識を発見。 はいはい、 ここを右に行って橋を渡るんですね。











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p.s.




以前このブログで紹介した 『北の無人駅から』 の著者、 渡辺一史さん
の別の著書、 『こんな夜更けにバナナかよ』 を読んだ。 徹底した取材、 上辺だけでない深い本質的な部分も引き出す取材、 背景のリサーチ、 そして、 取材して得られた情報に対し渡辺さん自身がどう考え、 分析し、 言葉にするか・・ そのすべてが、 すごい。 そして、 主人公となった鹿野さん。 鹿野さんという人がいたことを知り、 最後の展開には涙が出た。 それだけ鹿野さんという人に会っていたかのように近く、 体感できていたからだと思う。 そんな文章を書ける渡辺さんに、 敬服。


・・・って、 一体どんな話の本やねん! と思われますよね。 よかったら、 ぜひ読んでみて下さい!